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 難民の受け入れ問題をめぐるイラストが差別的だと批判されていた日本の漫画家の作品集が出版され、出版人らでつくる団体は21日、抗議の記者会見を開いた。書店や出版業界に「差別と憎悪の拡散に加担しないで」と呼びかけた。

 作品集は「『そうだ難民しよう!』はすみとしこの世界」(青林堂)。表題作は少女のイラストに「何の苦労もなく 生きたいように生きていきたい 他人の金で。そうだ難民しよう!」と書かれ、「『偽装難民』を揶揄(やゆ)した作品」と解説している。

 フェイスブックに作品を投稿してきたはすみ氏が今年9月に元絵を公開すると、批判や議論を呼び、国内外のメディアが「シリアの女の子の風刺漫画は人種差別か」(英BBC電子版)などと取り上げた。作品集にはほかに「私は難民様」「そうだ在日しよう」「そうだ慰安婦しよう」などと題した20点も収めている。

 版元の青林堂によると初版は3万部で、5千部の増刷を決めたという。担当者は取材に「差別的と批判されても、逆に注文がきている。求める読者がいるから出版している」と語る。青林堂は1962年に設立され、漫画雑誌「ガロ」で注目されたが、経営難で社長が交代し、近年は「嫌韓」をテーマにした本などを出している。

 これに対し、「ヘイトスピーチと排外主義に加担しない出版関係者の会」は先月、「弱い立場の人々を、悪意ある戯画化や偏見によってますます声を上げにくくさせる」などとする抗議声明を公表。「慎重な流通」を求める約8千人の署名を日本出版取次協会などに提出した。21日に都内で記者会見した同会の岩下結(ゆう)さんは「書店には子供も海外の方も在日の方も来る。この本を店に並べることの意味を書店員は真剣に自問してほしい」と話した。(西本秀