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 韓国の朴槿恵(パククネ)大統領の名誉を記事で傷つけたとして在宅起訴された産経新聞の加藤達也前ソウル支局長に対し、無罪を言い渡した一審判決について、ソウル中央地検は22日、控訴を断念すると明らかにした。加藤氏の無罪が確定する。地検は、韓国外交省が判決直前、法務省を通じて裁判所に、日韓関係のために善処を要請した点などを考慮したなどと説明した。

 加藤氏は、昨年4月の旅客船沈没事故の当日に朴大統領が元側近の男性と会っていたとの「うわさ」を産経新聞のウェブサイトに書き、情報通信網法違反(名誉毀損(きそん))の罪に問われた。

 ソウル中央地裁の判決は、「うわさ」の内容は虚偽で加藤氏もそれを認識していたと認定し、「私人」としての朴氏に対する名誉毀損は認めた。ただ、加藤氏の記事の目的は韓国の政治状況を伝えることで、名誉を傷つける意図はなかったとして、無罪を言い渡した。

 ソウル中央地検は判決について、加藤氏が「うわさ」を虚偽だと認識していることを認める一方で、名誉を傷つける意図を否定するのは判例に反し、控訴して争う余地があると説明した。一方で、「うわさ」が虚偽であることなど主張が認められた点を挙げた。そのうえで、「外交省も韓日関係の発展という大局的なレベルで善処を要請した点などを考慮して控訴を放棄することに決定した」とした。

 外交省の要請に対しては、行政府による司法介入で三権分立に反するとの指摘もあった。一方、日韓両政府には、関係改善の契機となるよう無罪判決確定への期待感が高まっていた。韓国メディアからは起訴に無理があったとの指摘も出ていた。

 加藤氏は「検察当局が控訴放棄の手続きを取ったことについては、当然のことと受け止めている。そもそも起訴したこと自体が間違っていると考えており、公訴は判決前に撤回されるべきだった」とのコメントを発表した。(ソウル=東岡徹