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 【松尾慈子】繊細なその絵柄から連想するとおり、やまがたさとみはセンシティブな作風の作家である。私は10年以上前に一度だけ彼女を取材をしたことがある。誰もがそっと心の中に隠し持っているような、不安定さ、切ない記憶、それらを自分の中に探って、読者が共感できるように作品として描いていく。彼女のその姿勢に私はいたく感動したものだった。出産、育児を経ても、みずみずしい作品を描き続けていてくれることが、私はとてもうれしい。

 そんな彼女が、女性漫画家を主人公に、編集者との恋を描いたのが本作だ。作中で「どうかまちがえないでください 作家と作品は違うのだということ 登場人物の『私』は 私であって私ではありません (中略) 全てはつくりものです」と主人公が語るのだが、なんというか、フィクションと真実が重ね合わされた透かし絵のように思えてしまって、私はなんとも言えない気分になってしまった。

 主人公の市野あおいは、少女漫画誌でデビューしたものの苦戦して、執筆に挫折しかけていた。30歳を目前に、ネットで発表した作品に目を留めた40男の編集者・神代と仕事をするようになる。

 物語の主題は、作家の揺れる心…

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