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 山のように積まれた漁網の上で、ギターを弾きながら福山雅治さんの歌を歌う長崎県新上五島町の小学6年生の動画が評判だ。福山さんの曲をカバーした動画のコンテストの結果が23日に発表され、男性の2位になった。

 ♪恋が走り出したら 君が止まらない

 1995年の福山さんのヒット曲「HELLO」を歌うのは新上五島町立今里小6年の川口拓万(たくま)君(11)。巧みにコードを進め、軽快にリズムを刻む。サビではカメラを指さし、ポーズも決める。

 川口君がギターにはまったきっかけは、小学4年の時に見た、長崎県の五島列島を拠点に活動するシンガー・ソングライター「ベベンコビッチ」こと大口久さん(48)の町内でのライブ。たまたま見て、「かっこいい」と衝撃を受けた。親戚からギターを譲り受け、5年になってから始めた。

 以来、独学だ。インターネットで弾き方やチューニングについて学んだ。音楽番組を見るとギタリストの手元に釘付けになる。今ではコードを見てすぐに演奏できるようになり、父泰司さん(51)らのカラオケの伴奏にも応じる。

 一家が暮らす今里郷は島の深い入り江の奥にある。泰司さんは定置網の漁師で、自宅前の漁港から朝早く漁に出る。漁網がいくつも山のように置かれている漁港が、川口君の練習場所だ。最初は人にあまり聞かれないよう、山の合間にもぐって練習していたが、自信がつくと、山の上で弾くようになった。静かな空気の中、ギターの音色がきれいに響く。「開放感があって気持ちいい」

 福山さんが8月に地元・長崎市でライブをした映像をテレビで見て、ファンになった。福山さんの所属するアミューズが、ベストアルバム「福の音」の23日の発売にあわせて福山さんの曲のカバー動画を募り、ネットを通じた投票で人気を競う「福山歌!紅白歌合戦」を催したことから、動画サイトのユーチューブに動画を投稿した。

 すると、300件以上の中から30組の予選通過者に選ばれ、23日に発表された審査結果で男性15組の「白組」で2位となった。「ビックリした」と喜ぶ。今後はフォークリフトの上など色々なところで歌ってみたいという。

 取材中、「ここに釣り糸をたらすだけで何でも釣れますよ」と教えてくれ、平家の落人が葬られたという平家塚などの名所も案内してくれた。将来は今里を離れ、「上京します」ときっぱり。シンガー・ソングライターの夢を追うつもりだ。「一度は挑戦したい。普通の歌を歌って、たまに長崎の歌も歌えたら」

 泰司さんと母実千代さん(49)は「やりたいことをさせよう」と見守っている。

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 川口君の動画は、ユーチューブに「福山雅治『HELLO』上五島in網の上(弾き語り)」のタイトルで投稿されている。23日現在、再生回数は7千回を超えている。(岡田将平)