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 日々の出来事や思いをつづる朝日新聞の読者投書欄「ひととき」に、今年もたくさんのお便りをいただき、ありがとうございました。この1年間に掲載した中から、気になる投稿を振り返りました。

免許講習でほろり

(11月2日付子育て面)

 先日、運転免許証更新の講習を受けた。仕事の都合で1歳と3歳の息子を連れ、夕方の最終回の受講。警察署でベビーカーを押しながら何度も周囲に「すいません」と謝り部屋に入ると、すでに受講者で満員。ここで子どもをあやしながらの30分は、なんと長く感じることか。

 幸い、出口付近の席に案内していただき、周囲の方にまた謝りつつ席に着いた。「静かにね」と子どもに言って、折り紙を取り出すと、一見ぶっきらぼうな講師の先生が大声で「まずはスマホの音を消して」と、よくある注意を始められた。

 さらに大きな声で「今日はここに小さい子どもさんを連れたお母さんがおられます。この厳しい世の中で必死に子育てをがんばっているところです。子どもというのは声が出るものです。私は負けない大きな声でお話しするつもりです。どうぞ温かいご理解をお願いいたします。それでは始めます」と。

 力が入っていた肩を優しくたたかれたようで、涙がこみ上げ、それを見た息子が不思議そうな顔をした。

 新しい免許証を見るたび温かい気持ちになり、今日も安全運転で子どもたちを園に迎えに行く私である。

 (兵庫県姫路市 大崎聡美 医師 33歳)

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 大崎さんが受けた免許講習は、兵庫県の姫路警察署で開かれた。講師は県交通安全協会の長野泰蔵さん(59)。元警察官で、音楽隊に所属してホルンの演奏を担当していた。市民とのつながりが持てる仕事を続けたいと、3年前から講師をしている。

 講習中に子どもが声を上げることがある。受講者の中には親子の方に目をやったり、迷惑そうな顔をしたりする人たちがいた。

 そこである時、子連れの受講者に理解を求めるあいさつを最初にしてみると、スムーズに講習が進んだ。「お母さんの気持ちにゆとりができるだけでなく、ほかの人も集中できます。『法定講習』なのでしっかり聴いてもらう必要がありますから」

 子どもを連れてくる人は、そうせざるを得ない事情があると考える。「あの日のあいさつも、当たり前のことをしただけ」と話している。(北村有樹子)

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 「ひととき」が始まったのは1951年でした。女性が家事や子育て、仕事などで感じた喜びやつらさをつづり、時に社会に疑問を投げかける場として多くの読者に支えられてきました。投稿は本文500字以内。名前と住所、電話番号、職業、年齢を書いて〒104・8011 朝日新聞文化くらし報道部「ひととき」係へ。ファクス03・5540・7354、メールhitotoki@asahi.comメールするでも。電子メディアにも掲載します。