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 大気汚染が「世界最悪」の都市は? 世界保健機関(WHO)によると、答えは、北京ではなくインドの首都ニューデリーだ。当局や裁判所が今月、マイカーの通行規制などを相次いで打ち出した。環境の専門家は歓迎するが、「性急すぎる」と批判も上がる。

 「故郷の村に住んでいた頃は、何ともなかった。ここは空気が悪すぎる」

 旅行会社に勤めるラムニワス・シャルマさん(28)は西部ラジャスタン州出身。3年前からニューデリーで暮らす。昨年からせきが止まらなくなり、呼吸器科クリニックに通う。

 クリニックのアミターブ・セングプタ医師(59)によると、患者の数は5年で約3倍になった。多くはぜんそくと慢性閉塞(へいそく)肺疾患。「その原因は、大気汚染」と言い、処方箋(せん)には「できればニューデリーから引っ越すこと」と書き添える。

 WHOが昨年発表した世界約1600都市の調査では、大気汚染と健康被害の原因となる微小粒子状物質(PM2・5)のニューデリーの年間平均値は、日本の基準の10倍を超える1立方メートルあたり153マイクログラムで、世界最悪だった。

 汚染の主な原因は、気温の下がる11~2月の間に、周辺の農村部で広範囲に行われる野焼きの煙や、年々増える自動車の排ガスだ。この時期は、調理や暖房などで木材や固形燃料の消費も増える。風が弱まり、空気が滞留しがちなのも要因とみられる。

 インド環境当局の調査では今月、PM2・5は市内のほとんどの地点で連日300マイクログラムを超える。政府系研究機関の報告では、汚染が原因でぜんそくや肺がん、心臓疾患などにかかった市民が年に1万~3万人死亡しているという。

 こんな状況に、デリー首都圏政府は4日、来年1月1日から平日の午前8時から12時間、市内の自家用車の通行を、ナンバーの末尾の偶数と奇数ごとに交互に制限すると発表した。まず、15日間試行するという。

 州政府に相当するデリー首都圏政府の首相は、「反汚職」を掲げる新興政党の庶民党(AAP)のケジリワル党首だ。自ら呼吸器の不調に苦しんでいるうえ、急進的な規制で党の人気アップを狙ったようだ。

 だが、公共交通機関が不十分で流しの四輪タクシーもほとんど来ないのが現状だ。「実行不可能」との批判が続き、規制差し止めを求める訴訟も起こされた。

 そこで、首都圏政府は18日、市内の小中高校を1月1~15日に休校にすると決めた。「スクールバスを路線バス用に提供させる」という。今度は、保護者らから「子供を犠牲にするのか」「16日以降も交通規制が続けばどうするのか」との声が上がっている。

 外国人学校は規定の適用外で、…

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