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 オリジナルには「起源の」という意味もある。アイデンティティー、つまり自分や集団の「らしさ」と、密接にかかわることばだ。だから人は国家のオリジナリティーを語る時、とりわけ雄弁になる。

 安倍晋三首相は年末の講演で、ノーベル賞受賞者から羽生結弦(はにゅうゆづる)選手まで、昨年活躍した人たちをよりどりみどりに挙げ、困難をバネに飛躍する「日本」のイメージをつくり上げた。

 『紋切型(もんきりがた)社会』を書いたライターの武田砂鉄さんはツイッターで、「豪華盛り合わせ……結婚式で聞いた記憶あり」とつぶやいた。

 「『日本』という言葉が、なんでもつめこめる大きな袋になったようだ。大きい袋に自分のやりたいことをこじつけ的に入れることもできる。袋に入りたくない人、入れない人は、はみだしものになり、大きな袋の外で窮屈な思いをする」

 「日本らしさ」には、長所も短所もあるはずだ。だが最近は、真面目さや仕事のきめ細かさなど、理想的な「らしさ」だけをすくい取り、日本を自賛する言葉が氾濫(はんらん)する。同時に、「反日韓国」「エセ日本人」など「他者」をつくることで、日本像の輪郭を示す語り方も目立つ。

 金沢大の仲正昌樹教授(政治思想史)は、「日本の『本来の輝き』を取り戻したいと考えるが、何をどう改善すればいいのかわからない。だから抽象的な敵を想像し、そのせいで輝けないのだと思おうとしている」と分析する。仲正さん自身は、契約よりも人間関係で成り立つ組織形態など、生活に根ざした慣習に日本らしさを感じる。

 「周りにそんな日本的共同体があり、守るべきものが見えている人は、逆に日本らしさなどあまり気にしないのではないか」

 自分を映す鏡として、誰を、何…

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