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 被爆70年の節目に初めて被爆地・長崎で開かれた2015年11月の第61回パグウォッシュ会議世界大会。世界の科学者らが核兵器や戦争の廃絶を議論する歴史ある会議で、1995年には同会議とその創設者にノーベル平和賞が贈られている。今回の大会では、「長崎を最後の被爆地に」で始まる「長崎宣言」が発表されたが、これとは別に、パグウォッシュ評議会声明も出された。ここには、これまで同会議がしてこなかったある主張が盛り込まれている。

 それは、核兵器の材料ともなるプルトニウムを世界でこれ以上増やさないために、原発の使用済み核燃料の再処理をすべての国がやめるべきだと明記した点だ。核保有国の英国はやめる方針だが、フランスやロシアは再処理を推進し、日本も青森県六ケ所村で再処理工場の計画を進めている。評議会声明は次のようにうたう。

 《プルトニウム分離のための再処理は、エネルギー利用か兵器利用かにかかわらず、全核兵器保有国を含め、すべての国でやめるべきである。核エネルギー計画での高濃縮ウランのあらゆる使用も停止しなければならない。燃料サイクルの決定に伴う国際的なセキュリティー上の観点から、核燃料サイクルの決定に際しては各国は互いに主権を制約することに同意する必要がある》

 前内閣府原子力委員会委員長代理で、パグウォッシュ会議の評議員を務める長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)の鈴木達治郎センター長が25日、東京都内で今回の会議の成果について語った。この中で強調したのが、世界のプルトニウム在庫量をこれ以上増やさないため、再処理をあらゆる国が中止すべきだと評議会声明の中で表明できた点だった。

 鈴木氏によると、民生用再処理の推進を主張する評議員もいる中で、パグウォッシュ会議がこうした方向性を打ち出したのは初めてだという。

 現在、軍事用にプルトニウムを分離しているのはインドとパキスタンといわれ、核兵器保有5カ国は兵器級プルトニウムはほとんど生産していない。しかし、民生用の再処理で世界のプルトニウムの在庫量は増え続け、今は民生用で250トンものプルトニウムが余っている状況だ。「これ以上増やす必要性を説いても説得力はない。プルトニウムを資源として使うべきだという意見の人でさえ、これ以上増やす必要はないと言わざるを得なくなった」と鈴木氏は説明する。

 日本では六ケ所村再処理工場の計画が進んでいるが、鈴木氏は「やめたほうがいい」との考えだ。ただ、今すぐやめるのが難しいなら、まず使用済み核燃料の直接処分を可能にして選択肢を広げるべきだと主張。今は貯蔵か再処理の選択肢しかないので電力会社は再処理を選ぶ、と指摘する。長期的な研究開発は否定していないが、「本当にプルトニウムを使いたいのなら、250トンあるからそこから使ってくださいということ」とも述べた。

 パグウォッシュ会議で原子力の…

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