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 「北陸六味」は朝日新聞北陸共通地域面で連載中のコラムです。デジタル版では、過去の回から抜粋して随時配信します。初回は富山出身の俳優・西村雅彦さんです(1月8日掲載)。

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 今年は久しぶりにNHKの大河ドラマに出演します。タイトルは「真田丸」、脚本は三谷幸喜さん。真田一族の興亡が描かれます。

 実に20年ぶりの出演となる大河ドラマ。前回演じたのは徳川家康で、役名を聞いた時はその名前と偉大さに思わず武者震いしたことを覚えています。

 今回演じるのは、室賀正武(むろがまさたけ)。真田昌幸と同じ信濃小県(ちいさがた)郡の有力国衆で、真田とは生まれ育った場所も近く、共に武田の家臣でライバル同士だったそうです。

 現代社会に置き換えて考えると、徳川家康が大企業の社長なら、室賀と真田は中小企業の社長といった立場。戦国の世において彼らがどのように戦い生き抜いていったのか、「中小企業ならでは」のその術が、見どころの一つとなっています。残された史実からもわかるように、真田は言わば勝ち組。一方、室賀は何故こぼれ落ちていったのか。そこに着目してみて頂けると面白いですよ。とはいえ、室賀一族もしたたかに、しっかり乱世を生き抜いていきましたけどね。

 今回脚本を担当する三谷さんとは劇団活動をしていた頃の盟友です。劇団は1994年から「30年間の充電期間」に入っており、現在は活動を休止していますが、またこうして彼の作品に参加出来ることをうれしく思っています。劇団時代の仲間も何人か「真田丸」に出演するそうなので、どんな役でどんな芝居を見せてくれるのか、個人的に楽しみでなりません。

 真田家ゆかりの地が数多くある長野は、去年北陸新幹線が開通したことで色々な場所からぐっと近くなりました。富山からだと1時間ほどで行けるのですから便利になりましたね。

 あまり知られていませんが、長野には室賀の居城もあるそうです(石垣が残っているだけですが)。撮影が終わったら、ゆかりの地をあちこち訪ねてみようと思っています。室賀正武出身の地、上田市にも行って、別所温泉の湯につかりながら当時のことに、ドラマのことに思いを馳(は)せ、今と昔を比較しながら熱燗(あつかん)をチビチビいただく。なんてすてきな、オヤジならではの旅の楽しみ方でしょう(アハハ)。

 最初の大河出演から20年。振り返るとあっという間の20年。実は心の奥底にしまいこんだ記憶が数多くある20年。よくぞこれまで俳優をやって来られたなと、感慨もひとしおなのですが、立ち止まることなく、今はとにかく前を向いていこうと思います。若い頃には全く考えなかった老いと向き合いひたすらに生きるのです。

 しかし、久しぶりの大河ドラマ出演は緊張します。(俳優)