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 アパートの便所でウンコをしている牛は実はどういうワケか牛の姿に変身させられてしまったミュージシャン志望の青年で、そこへトイレットペーパーの姿をした魔法使いと空飛ぶ美少女が飛び込んできて、トイレットペーパーは「この娘は人工衛星だ」と言って「君を追っている悪い怪物を一緒にやっつけよう」と呼びかけ、美少女の方も確かに正体は人工衛星で長ーいあいだ宇宙から青年の歌を聴いているうちに会いたくなって地上に降下したらどういうわけだか美少女の姿になってロケットパンチを放ったりするのでありました。

 「なんじゃそりゃあ!」とツッコみどころがありすぎてカオスなこのお話は、韓国の長編アニメ「ウリビョル1号とまだら牛」(2014年)。この後も、青年が魔法使いのくれた「人体スーツ」(背中にチャック)を着て外見だけは人間に戻るとか、雄牛なのに乳が六つあってそれを美少女に搾られて恥じらう(エロ?)描写とか、青年を狙う焼却炉のような怪物ロボと美少女のメカアクションとか、気味の悪い壁抜け男が青年の肝を抜こうとつきまとうとか、青年が美少女の手を握ってキスしようとしたらロケットパンチが作動して川へすっ飛ばされるとか、ビジュアルスタイルは素朴で癖がない(言い換えると少々古くさくてありきたり)のに、いやそれだからいっそう、お話の妙ちきりんさが際立ちます。楽しいです。

 読めばおわかりの通り、この映画盛りすぎです。パーマンになって平和を守る使命を帯びたと同時に家にドラえもんと怪物くん一家がやってきちゃったようなもんです(違うかな)。でも面白いのは、謎も飽和点を超えるともう一つ一つ回収なんかしてくれんでもええわ、という気になってくるところ。心を奪うのは、人工衛星ウリビョル1号改め少女イルホの純情です。人工衛星の使命を終えた彼女が最後のミッションとして自らに課したのは、愛する青年を悲しい運命から救い出すこと。その思いは胸に秘め「さよなら」と牛の鼻にキスをして決戦の場へ飛んでいく美少女、その姿を見送り屋上で呆然(ぼうぜん)と立ちすくむ牛、その傍らの物干しで青年のヌケガラのような人体スーツがゆらゆらと風に揺れている……。何とも切ない、素晴らしいシーンでした。

 この映画、どこで見たかという…

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