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 1940年代の「マンハッタン計画」に始まる米国の核開発の歴史は、先住民族にとっては聖なる土地を汚され、そこから追われる苦難の歴史だった。ハンフォード周辺の先住民族「ワナパム」のリーダー、レックス・バックさん(60)がインタビューの待ち合わせに指定した時刻は午前6時。夜明けのコロンビア川を眺めながら、部族の歴史と暮らしを聞いた。

先住民族リーダー、レックス・バックさん

 「マンハッタン計画」によって、ぼくたちワナパム部族に何が起こったのか、お話ししよう。

 それは、原爆開発のための土地を探していた陸軍のフランクリン・マサイエス大佐がハンフォードに目をつけたのが始まりだった。原子炉を冷やすためのコロンビア川の豊かな水と、何もない広大な土地があり、秘密を守れる人里離れた場所だったから、まさに条件にぴったりだったということだ。

 ある日、大佐がやって来て「この土地は軍が使うから出ていけ」と祖父に言い渡した。2500人ほどのワナパム部族のリーダーだった祖父は無用なトラブルを避けるため、それに従った。「心配するな。良き民であれば、創造主が我々を助けてくださる」と。

 部族の言葉で創造主のことを「ナミピアップ」って言うんだ。ぼくらは今でも「創造主の掟(おきて)(ビッグロー)」に従って生きている。何百年と続く掟は、現代の法律とは違って、気に入らないからといって作り直すわけにはいかないよ。自然や土地がぼくらの主なんだ。夜明けとともに目覚め、日の入りとともに眠る。他人と争うな。土地をいたわれば、土地が人間の面倒をみてくださる。そういうふうにできている。

 当時の部族は、この聖なる土地一帯を馬で移動しながら暮らしていた。春から秋にかけては山で狩りをしたり、コロンビア川でカヌーをこいで魚をとったりしていた。冬に備えて食料をためておき、みんなで分け合った。食料をめぐる争いが起きないようにする部族の知恵なんだ。そうやって何百年も暮らしてきた。男は狩りや魚取り、女は薬草集め。花や根を蒸して飲むんだよ。

 祖父らがこの土地を去る時に、…

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