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 肉離れは頻度の高いスポーツ外傷・障害の一つです。

 肉離れが起きやすいスポーツとその種目に特徴的な肉離れが生じる受傷場面、部位は次の通りです。

①バスケットボールでのシュート動作時=上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)(腕の後面の筋肉)

②体操、バレーボールのスパイク動作時=腹直筋(ふくちょっきん)(腹部の中央にある筋肉)

③サッカーのシュート動作時=大腿直筋(だいたいちょっきん)(太もも前面の筋肉)

④短距離走のダッシュ時=ハムストリングス(太ももの後面の筋肉)

⑤テニスやバドミントンの切り替えし時=腓腹筋内側頭(ひふくきんないそくとう)(ふくらはぎの筋肉)

 受傷時の状況について選手は、「鋭い、力が抜けるような痛み」「音がしたような突然の衝撃を感じた」などと表現します。

 肉離れは、典型的には筋肉が収縮した状態で引き伸ばされたときに生じるとされます。受傷の際には筋肉のコンディションだけではなく、体幹や骨盤も含めた体勢が影響します。また、多くは筋肉から腱(けん)へ移行する部分に損傷が起こります。

 肉離れになると、損傷部に痛みや腫れが生じ、固まりになった筋肉や断裂部のくぼみに触れることができます。損傷した筋肉を伸ばすと、痛みが誘発されます。重症になると、広範な皮下血腫(いわゆる内出血)が生じることもあります。

 重症度の判定にはMRIが有用です。軽症では筋肉内あるいは筋肉と筋肉の間の出血、中等症では腱に部分的な損傷を認めます。重症になると、腱が完全断裂したり、腱が骨から剝がれたりします。

 治療は、受傷直後(受傷後48時間)では安静、氷やアイスパックなどによる冷却、包帯による圧迫、枕などでの挙上を行い、血腫の形成や炎症を最小限に抑えます。

 その後、軽症例ではストレッチングや関節を動かす訓練を開始します。痛みが消失した時点でジョギングを開始し、以後段階的に運動レベルを上げ、受傷後1~2週間で競技への復帰を目指します。

 中等症の場合は、患部が伸ばされる感覚が出始めたころから積極的にストレッチングを開始します。中等症になると、再受傷の危険性があることから、負荷の強い動作は、MRIで腱の修復が確認されてから開始し、競技復帰することが推奨されています。復帰には4週間~3カ月を要します。

 重症例では、筋肉の機能不全が残存して競技レベルの低下を招くこともあるので、競技選手の場合には手術が考慮される場合もあります。復帰には4~6カ月を要します。

 筋力や、筋肉の柔軟性が不十分な状態で競技に復帰すると、再発する可能性が高くなります。競技復帰に際しての再発予防には、全身の柔軟性の改善▽筋力強化▽バランス能力の改善▽不良な運動姿勢の矯正、などが重要となります。

 一言で肉離れといっても、軽症のものから重症のものまで存在します。最適な時期に最適なコンディションで競技復帰することが、再発予防につながります。肉離れになった際には是非、整形外科を受診してください。

<アピタル:弘前大学企画・骨と関節の病気 予防と治療>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/hirosaki/(弘前大学大学院医学研究科整形外科学講座助教 奈良岡琢哉)

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