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 米国の原爆開発「マンハッタン計画」の拠点、ワシントン州ハンフォードが昨年秋、国立公園に指定された。冷戦期にも兵器用プルトニウムを造りつづけ、1988年の生産停止からは放射性廃棄物という「負の遺産」の処理に苦しんでいる。ハンフォードの除染の現状と、そこから見える福島や原子力産業の未来は――。監視団体「ハンフォード・チャレンジ」代表で弁護士のトム・カーペンターさん(58)を同州シアトルの事務所に訪ねた。

監視団体代表・弁護士、トム・カーペンターさん

 核の問題に関わり始めたのは1979年、オハイオ州のロースクールを出て弁護士になってからです。コロラド州ロッキーフラッツの核兵器施設の汚染問題に関わったあと、ハンフォードの問題に取り組み始めたのは86年のことでした。住民や労働者の話を聞き、現場を見れば見るほど、これは何とかしなくてはと思うようになりました。冷戦期の当時はまだプルトニウムを生産していて、とにかく現場はめちゃめちゃだったのです。そのひどさを内部告発する人たちが出てきて、私が彼らの訴訟代理人になって、今に至っています。

 ハンフォードを国立公園にする前に、まず徹底的に除染をしろと言いたい。「緑の隠蔽(いんぺい)(greenwash)」をするな、と。うわべだけきれいな公園にしたって、実際は違う。毒まみれの悪夢。世界で最も汚染された場所の一つなのです。その除染ができつつあるどころか、エネルギー省の見通しでは2090年までかかるという。しかも、実際にやっていることは除染ではない。ハンフォードの施設内で廃棄物を移動させているだけです。

 計画では、地中に埋めた177個のタンクに保管する5600万ガロンもの高レベル放射性廃液をガラス固化処理しようとしています。仮にそれができたとしても、いったいどこに持っていけるのか。おそらく、ほとんどはハンフォード施設の敷地に置きっぱなしになるでしょう。また、タンク内の高レベル放射性廃液とは別に、1億2千万ガロンの廃液が直接地中に捨てられています。この地中に残る大量の廃棄物が除染される計画はないのです。家族をピクニックに連れていきたい場所にはならないでしょう。施設沿いのコロンビア川では釣りやボート遊びをする人もいて、一見きれいに見えるかもしれませんが、施設中央部の区域にとどまっている汚染流が、いつ川にしみ出すか知れません。

 その間にも地中のタンクは老朽化が進み、177個のうち70個のタンクから廃液が漏れています。ただの廃液ではない。兵器用プルトニウム生産によって凝縮された高濃度の放射性廃液です。混じっている化学物質は水素爆発を引き起こしかねません。すでに、タンクから漏れた化学物質や蒸気を吸った作業員が病気になっています。廃液に混じるやっかいな化学物質が蒸気として放出され、マスクをしていても吸い込んでしまう。いったん体内に入れば、脳や肺、肝臓に障害を与え、長期的にはがんになる人もいる。しかし、エネルギー省やハンフォードの請負企業側は「因果関係はわからない」の一点張りです。

 だからこそ、除染が重要なので…

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