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 米国の原爆開発の拠点だったハンフォードで、廃棄物処理施設の安全性について内部告発したらクビになる――。監視団体代表トム・カーペンター弁護士(「核の神話:11」で紹介)の話が心に引っかかった。実際に内部告発をした技術者のウォルター・タモサイテスさん(68)に事情を聴いた。

内部告発した技術者、ウォルター・タモサイテスさん

 私は2度、「クビ」になりました。

 1度目は2010年7月。ハンフォードの主要請負企業ベクテル社から、計画中の廃棄物処理施設の調査・技術責任者を任されていた私は、施設の安全性に多くの問題があることに気づきました。高レベル放射性廃液をガラス固化するための前処理で、水素爆発が起こる危険性があったのです。地中で放射性廃液を貯蔵するタンクが水素爆発を起こしたり、もっとひどい場合は核分裂が制御不能となる臨界事故を起こしたりしかねない。その問題をまず解決すべきだと訴えたのです。

 しかし、会社側は「問題は解決した」と言い張り、私の訴えを無視しました。その年の6月末までに問題を解決して計画を前に進めれば、国から500万ドルの報奨金が会社に入ることになっていたのです。さらに、知らないうちに5千万ドルの追加予算がついていました。「これはおかしい」と思い、様々な問題点を記したメールを技術コンサルタントらに送ると、会社の幹部らが激怒して「こいつを現場から外せ」という事態になったのです。

 ベクテル社の下請けのURS社(現・AECOM社)のビルの地下室に異動させられました。窓のない部屋に1人だけ。段ボールで机をつくりました。仕事はありません。そこで、連邦議会への報告機関である防衛核施設安全局に手紙を書きました。「ハンフォードの廃棄物処理施設には数多くの技術的問題があり、文化的な問題もある」。問題提起したらクビにするような「報復の文化」です。当時のエネルギー長官に伝わり、調査の結果、私が挙げた技術的な問題を認めて、計画の中断を命じました。

 地下室送りの仕打ちも連邦議員の耳に入り、呼ばれてワシントンDCの連邦議会で証言すると、窓のある部屋に移されました。仕事が与えられないことには変わりありませんでしたが、辞めたら負けです。その後、会社を相手に法廷闘争に打って出ましたが、2013年10月、「経費節減のためのレイオフ」を通告されました。2度目の「クビ」です。その後は元同僚らのクリスマスパーティーにも招かれなくなりました。「内部告発者」を招いて、上司と鉢合わせしたら大変だということでしょう。

 私には妻と2人の娘がいますが…

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