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南十字星の下で

 私は8年前、朝日新聞「GLOBE」創刊号の取材で北極圏へ行ったことがある。カナダ軍が行った軍事演習「オペレーション・ナヌーク(ホッキョクグマ作戦)2008」を従軍取材したのだ。

 青白い流氷の美しさとともに、特に陸軍で過ごした際のしんどさが良い思い出になった。海軍には艦船があってベッドで寝られるが、陸軍は野営が基本。8月なのに、指が軽い凍傷になるほど寒かった。北極なのだから、当然ではある。

 今年は南極条約が発効してから55年になる。せっかく南半球のシドニーに住んでいるのだからと、南極について調べてみることにした。

 まず向かったのは、オーストラリアで最南端のタスマニア州だ。オーストラリア政府の機関である南極局をはじめ、南極に関する研究施設などがいくつもある。

 州都ホバートの港にはフランスや中国の砕氷船が寄港することもある。オーストラリアの南極探検家、ダグラス・モーソンがかつて南極につくった小屋を模したレプリカ博物館もあり、「南極に近づいた」と実感できるような気がする。

 実は、北極の取材をしていた当時、南極には「理想の大陸」のようなイメージがあった。地球温暖化などで氷が溶け、新たな航路が開けつつある北極圏はさまざまな利権のにおいがし、周辺国がこぞって領有権を主張していた。

 でも、南極は違う。冷戦のさなかにできた南極条約で、領有権の主張を凍結し、平和利用に限ると定めたのだ。だれのものでもない土地。どの国にも属さないだなんて、なんだか「イマジン」の世界みたいではないか。

 でも、南極について取材をしてみて、そんな理想郷ではないようだとわかってきた。費用対効果を考慮して、今のところは本気で自分のものにしようとする国がない、という方が正確かもしれない。

 ただ、観測基地を設置する国はどんどん増えている。自分のものにはできないが、他の国に取られるのはイヤ。だから、とりあえず基地はつくっておこうということなのだろうか。

 確かに石炭や石油などは豊富だ…

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