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【(1)腕に…「隠しようがない」】

 埼玉県に住む看護師の女性(48)は2015年5月ごろ、右ひじの内側がはれて、少しふくれていることに気がついた。

 当時、県内の着物学院に通い、組みひもづくりを習っていた。お気に入りのピアノデュオ「レ・フレール」のパリ公演で着物を着たくて、着付けを習いに行ったのがきっかけだ。「着物に合う組みひもをつくったら」と勧められた。

 「変な力が入って、腕が太くなったんですかね」

 右腕の異変について、組みひもの先生に話すと、「そんなわけないでしょう。もし、そんなことがあったら、生徒がいなくなっちゃうわよ」と笑われた。

 それでも気になったので、勤め先の病院で医師に相談し、6月にMRIを撮った。画像を見た医師の所見には、サルコーマ(肉腫)などの疑いと書かれていた。MRIには、子持ちシシャモのような形の影が映っていた。

 会社員の夫(56)は、診断結果を見て「オー、ジーザス」と言った。「なんで英語なの? どういう意味?」と問うと、「おお、神よという意味だ。ぼくの生みの母も育ての母もがんだった。どうして我が家にくる女性は皆がんになってしまうんだろう」と答えた。

 おどけたようなその言い方に、女性は「彼の精いっぱいの強がりだな」と感じた。母親をはじめ、自分の身内にもがん患者が多く、「いつかは自分もがんになるのではないか」という予感はしていた。だから、がんになったこと自体はショックではなかった。

 ただ気になったのは部位だった。「胃がんなどと違って、腕では周囲に隠しようがない」

 7月に県内の総合病院を受診して、検査のため、右腕の腫瘍の組織を一部取った。希少がんの一種で、右前腕部の「軟部腫瘍(しゅよう)」と診断された。希少がんの症例が多い国立がん研究センター中央病院(東京都中央区)で治療を受けることに決めた。

 検査前は痛みもかゆみもまったくなかったが、組織を取ると、激しい痛みとしびれが襲ってきた。

 「検査だけで、こんなに痛みがひどいなんて。腫瘍を全部取ったら右腕は助からないかも」。そう覚悟した。

 

【(2)いっそカツラは茶髪に】

 右前腕部に軟部腫瘍(しゅよう)が見つかった埼玉県に住む看護師の女性(48)は2015年7月、国立がん研究センター中央病院(東京都)を受診した。

 腫瘍を取り出す手術の前に、まず、抗がん剤による治療を受けることになった。腫瘍を小さくする効果やほかの部位への転移を防ぐ効果をねらったものだ。

 「腫瘍にあまり変化がみられな…

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