【動画】マンガについて語る杏さん。手塚治虫文化賞の選考委員を務める=佐藤正人撮影
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 マンガ文化に大きな足跡を残した手塚治虫の業績を記念する「手塚治虫文化賞」(朝日新聞社主催)の「マンガ大賞」候補7作が決まった。1997年に始まり、今年は第20回となる。朝日新聞デジタル連載のコラム「杏の気分ほろほろ」筆者で、マンガファンとしても知られる俳優の杏さんが、今年から社外選考委員に加わった。最終選考会を前に、マンガへの思いを語ってもらった。

 ――大のマンガ好きです

 お芝居で演じる作品と作品の間に、すごく読みたくなります。読むスピードが速いので、いっぱいためてから一気に。家や出張先のホテルで読むことが多いです。最近は電子書籍も買うようになりました。

 ――マンガとの出会いは

 小さい頃から家にマンガがありました。「ドラゴンボール」「ちびまる子ちゃん」「ベルサイユのばら」「人間交差点」とか。小学生の頃、週1回の漢字テストで2回続けて満点をとると1冊マンガを買ってもらえる約束で、手塚治虫さんの文庫シリーズを買ってもらっていました。「海のトリトン」「フライングベン」など、少年少女が動物と出会って力を合わせて冒険していくみたいなストーリーが特に好きでした。

――年を重ねるごとに読む作品も変化しましたか

 「なかよし」「ちゃお」から始まって、「りぼん」「マーガレット」にいって、さらに「花とゆめ」へ。二つ上の兄は「少年ジャンプ」から「ヤングジャンプ」、「チャンピオン」に。交換してお互いに読み合っていました。

 ――特に好きな作品は何ですか

 歴史か文化か食が絡んでいるものが割と好きですね。子どもの頃は萩尾望都さんの「ケーキケーキケーキ」がすごく好きでした。若い女の子がお菓子作りの職人を目指す物語で、パンケーキがおいしそうだったり、ケーキが浮いたり、夢のあるお菓子の話です。みなもと太郎さんの「風雲児たち」にも影響を受けました。「歴史好きだったら読んでみるといいよ」と撮影現場で言われて。ここから派生して読んだ小説や歴史の本も多くて、勉強になるし、知的好奇心も満たしてくれる作品です。

 ――生活や仕事に生きますか

 豆知識や雑学は増えたんじゃないかな。専門的な分野に特化した役を演じるときに、参考にすることもあります。マンガはビジュアルですごく速く確実に頭に入ってくるので。例えばドラマ「幽(かす)かな彼女」では80年代の先生が幽霊になって現代に現れるという設定だったので、その当時の学校を描いた「生徒諸君!」を読みました。

 ――杏さんにとってマンガとは

 「人生の友」です。私は自分の興味ある分野だけで全部を網羅しているわけではないですが、マンガが好きなことに変わりはないので、選考委員としては、いちファンみたいな立ち位置から、楽しみながらマンガの魅力を色々な方に知っていただけたらと思います。

 ――日本のマンガ文化への期待は

 カンボジアに行った時、小学生くらいの女の子が「ドラえもん」を読んでいました。子どもの頃見ていたものが共通すると、結構わかり合える部分があると思うんです。世界の共通項として、マンガは一番先端にいるんじゃないかな。

 一方、マンガに限らず違法だったりタダで見られたりする環境が今すごく増えています。監督、主演、カメラマン、照明……すべての役割をひとりないしものすごく少ない人数で時間もギリギリの中で完成させて、淘汰(とうた)もされていく厳しい世界。一ページ一ページ、どれくらい命を削って描いているんだろう。作り手にちゃんとその価値が還元されるようになればいいな、と思います。(聞き手・佐藤美鈴)

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