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 【松尾慈子】無名だった漫画家・岡野が認知症になった母を描き、ドラマや映画にもなったエッセーコミック「ペコロスの母に会いに行く」(西日本新聞社)シリーズの最新作である。「ペコロスの母の玉手箱」と本作「ペコロスの母の贈り物」は朝日新聞出版の本なので、本社の資料室から借りてきた。ペコロスとは西洋タマネギ。作者はそのハゲ頭ゆえに「ペコロス」と自称しているのだ。読み終えたその夜、広島に住む私の父からメールが来た。「お母さんが要介護度1の認定になったよ」

 私の両親も70歳をとうに超え、覚悟はしていたが、現実にそうなるといいようのない不安に襲われた。ほのぼのとした要素を織り交ぜて描いてはいるが、「ペコロスの母」も在宅介護では日々支障がでるようになり、グループホームでお世話になっている。私の両親の場合、父が母の介護をどこまでできるのか、私がどこまで支援ができるか、母を受け入れてくれる施設は見つけられるか。不安がうずまく頭のかたすみに、「ああ、いまこの瞬間にも、日本中で介護に悩む人がたくさんいるんだろうなあ」という思いがよぎった。

 日本人の平均寿命は80歳を超え、女性は90歳近い。ペコロスの母も2014年、91歳まで生きた。認知症を患ったペコロスの母は、過去と今を行き来しながら生き、生前は酒癖が悪かった亡夫と語り合う。作者はその切なくもやさしい日々を、おだやかに描いた。

 亡くなる1年半前、作者たち家…

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