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 南アフリカのケープタウン郊外にある黒人居住区カエリチャ。簡素な家々が密集する地区では、失業率は4割を超える。アンディールさん(38)は月2回、近所のプレハブの診療所に通い、エイズウイルス(HIV)の病状進行を抑える治療薬を受け取る。「薬を飲み始めて、すこぶる体調はいい」

 HIVが陽性と診断されたのは、頭痛や下痢などの症状が続いていた12年前。当時美容師だったアンディールさんの月収は約1万円。妻と3歳の娘を養うので精いっぱいだった。「医療費が払えない。一時は首をつって死のうとしたが、妻に止められた」という。

 救われたのは、インド製の後発医薬品(ジェネリック薬)のおかげだった。新薬を使えば月1千ドル(約11万円)の支払いが患者側に生じるが、安価なジェネリック薬は政府が購入し、低所得者に無償提供する。1日1ドル前後で暮らす患者も多く、命綱となっている。

 カエリチャで医療支援を続ける「国境なき医師団」のエリック・ゴーマエル医師も「私たちが使う薬の8割がインドのジェネリック薬。インドなしでは活動は立ちゆかない」と話す。

 世界のHIV感染者は、その60%以上がアフリカ大陸南部に集中する。人口5300万人の南アは、感染率が最も高い国の一つ。感染者数は約640万人にも上ると言われる。

 インド製のジェネリック薬が、この国で本格的に普及し始めたのは2000年以降だ。特許で守られた新薬は値段が高すぎて治療が受けられず、年25万人のエイズ患者が亡くなる状況を改善しようと、政府が安価な医薬品を輸入できるように薬事法を改正した。

 特許を持つ欧米の製薬会社は「新薬が売れなくなる」と反発したが、インドのジェネリック薬大手シプラ社は「1人1日1ドルでエイズ治療薬を販売する」と表明。年間約1万2千ドルかかった薬代に価格破壊をもたらし、南アでは約220万人のエイズ患者が新たに治療を受けられるようになった。南アのモツァレディ保健相は「インドは私たちのヒーローだ」と持ち上げる。

 「エイズ治療薬の供給をきっか…

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