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 「猫」は漱石の小説の中では遺作「明暗」に次いで長い。1905(明治38)年1月、最初は読み切りのかたちで、俳句俳文系の文学雑誌「ホトトギス」に発表された。それは「欲をいっても際限がないから生涯この教師の家(うち)で無名の猫で終るつもりだ。」という落ち着いた文末によっても明らかだ。

 イギリス留学から持ち帰った西洋的知性と東洋的な文化への憧憬(しょうけい)の狭間(はざま)で、漱石のアイデンティティーは激しく揺らいでいた。周囲の無理解と孤独な学究生活は、危険で不安定な精神状態に追いやりつつあった。理解の手を差しのべたのが高浜虚子だった。2人は、道後温泉につかり、俳体詩を作って楽しんで以来親交を重ねてきた仲だった。漱石はそれに応え、鬱屈(うっくつ)した心情を吹き飛ばすかのように筆を執った。

 タイトルははじめ「猫伝」が考…

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