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 インターネットバンキングで昨年1年間に不正送金された被害額は、前年より約1億6300万円増え、過去最悪の約30億7300万円だった。被害件数は1495件で前年から381件減った。7割が基本的なセキュリティー対策を取っていなかったという。警察庁が3日、発表した。

 一度に多額の送金ができる法人口座の被害が増えて、全体の被害額を押し上げた。法人口座の被害は273件で前年より53件増え、被害額は約14億6600万円(前年比約3億7800万円増)だった。

 被害が確認された金融機関は223で前年から倍増した。都銀や地銀の被害額が減少する一方で、信用金庫が18から98、信用組合が4から17に増え、両者の被害額は前年の7・6倍になった。農協と労働金庫でも新たに被害が確認された。

 警察が被害額としているのは犯人側が不正送金の手続きを済ませたものだ。金融機関側が不正に気づいて送金処理を止めたり、送金先の口座を警察との連携で既に凍結できていたりして実害を防げた額は4億2700万円。1件あたりの被害額が最も大きかったのは、都銀の法人口座で起きた約9900万円だった。

 警察庁は今回初めて、被害に遭った個人客や企業がセキュリティー対策を取っていたかを調べた。

 個人口座の被害は1222件あり、このうち、1回の送金手続きに限り有効な「ワンタイムパスワード」を使っていなかったのは916件(75・0%)に上った。法人口座の被害は273件で、事前に設定した端末だけが手続きできる「電子証明書」を使っていなかったのは185件(67・8%)だった。

 ワンタイムパスワードの利用は任意というケースが多い一方で、このサービスを提供していない金融機関も少なくない。警察庁は「引き続き対策の推進と高度化を働きかけていく」としている。

 このほか、個人口座を巡り、スマートフォンにショートメッセージを送り、金融機関の偽サイトに誘導してIDやパスワードをだまし取る手口も確認された。(八木拓郎)

被害防止・軽減のためにできること(警察庁による)

【全ての客】

・OS(基本ソフト)などを最新の状態に保つ

・ウイルス対策ソフトを最新の状態で利用する

・不審なワードファイルや圧縮ファイルを開かない

・不自然なタイミングでIDとパスワードを求められたら入力せず、金融機関に相談する

・金融機関のホームページで最新の被害事例や注意事項を確認する

【個人客】

・金融機関提供のワンタイムパスワードを使う

・ログインや送金をしたらメールで通知を受けられるサービスを利用する

・不審なリンクにアクセスしない

【法人客】

・電子証明書を使用できれば必ず使用する

・ネットバンキング専用の端末を使用する