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 2005年に栃木県今市市(現日光市)で小学1年の吉田有希さん(当時7)が下校途中に連れ去られ、茨城県で遺体で見つかった事件の裁判員裁判で、宇都宮地裁(松原里美裁判長)は8日、殺人罪に問われた無職勝又拓哉被告(33)に対し、検察側の求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。無罪を主張してきた弁護側は控訴する方針。

 事件から10年以上が経ち、凶器や被害者の遺留品などの直接的な物的証拠がないなかで、裁判員らは難しい判断を迫られた。法廷では、取り調べの様子を録音・録画した映像を7時間以上にわたって再生。逮捕後に殺害を認めた自白が信用できるかが争われた。

 判決は自白について、「想像に基づくものとしては特異ともいえる内容が含まれている。体験した者でなければ語ることのできない具体的で迫真性に富んだ内容だ」と指摘。女児の発見時の体勢や死亡推定時刻などを検討した結果、「殺害状況など根幹部分は客観的事実と矛盾せず、信用できる」と結論づけた。

 検察側は、犯行時間帯に被告の車が自宅と遺棄現場方面を往復した可能性を示す「Nシステム」(ナンバー自動読み取り装置)の通行記録を異例の証拠提出。女児に付着していた猫の毛が、被告の飼い猫のものと同類であること▽女児の首の傷は、被告が所持していたスタンガンによるものとみても矛盾がないこと――なども根拠として挙げた。

 判決はこうした状況証拠について、「被告が犯人でなければ合理的に説明できない事実は含まれていない」と指摘。客観的な証拠だけでは被告を犯人とは認定できないと述べた。

 そのうえで、判決は自白の内容に沿って、05年12月2日午前4時ごろ、茨城県常陸大宮市内の林道で女児の胸などをナイフで刺し、殺害したと認定。「女児へのわいせつ行為の発覚を免れるため、ナイフで10回程度も突き刺しており、自己中心的で身勝手極まりない。わずか7歳で命を奪われた被害者が受けた恐怖や苦しみは計りしれない」などと量刑の理由を述べた。

 裁判員裁判は2月末に始まり、3月31日に判決が予定されていたが、評議をより慎重に進めたため延期された。偽ブランド品を譲渡目的で所持していた商標法違反と、ナイフを所持していた銃刀法違反の罪については裁判官のみで有罪の判決が出ており、合わせて判決が言い渡された。(岩佐友)

判決のポイント

・犯行時間帯に被告が自宅と遺棄現場方面を往復した可能性を示す記録など、客観的な証拠のみからは被告が犯人とは認定できない。

・捜査段階の自白は取調官から強要されたとは認められず、任意性がある。殺害状況や遺棄状況の根幹部分は客観的事実と矛盾せず、供述態度から認められる迷いや葛藤などをあわせれば、自白は信用できる。

・女児へのわいせつ行為の発覚を免れるため、ナイフで10回程度も突き刺しており、自己中心的で身勝手極まりない犯行だ。女児の恐怖や苦しみは計り知れず、無期懲役が相当だ。