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 別れを告げられた腹いせに、交際中の写真をインターネット上に流す「リベンジポルノ」。世間に知られるようになったのは、東京都三鷹市で2013年、高校3年の女子生徒(当時18)が元交際相手の男に刺殺された事件がきっかけだった。ストーカー行為もしていた男が裁判で語った特異な「恋愛観」とは。

 3月4日から東京地裁立川支部で始まった裁判員裁判。殺人や児童買春・児童ポルノ禁止法違反(公然陳列)の罪に問われた池永チャールストーマス被告(23)は証言台で姿勢をただした。

 起訴状によると、被告は13年10月8日、三鷹市内の女子生徒宅に侵入。生徒の部屋のクローゼットに隠れて帰宅を待ち伏せし、ナイフで刺して殺害。さらに、交際中の写真をインターネットに流出させたとされる。

 被告が立川支部で裁かれるのは二度目だ。最初の裁判員裁判では、当時起訴されていなかったリベンジポルノ行為が重視され、14年8月、懲役22年が言い渡された。だが、15年2月の2審・東京高裁は「起訴していない罪で処罰したのは違法」として一審を破棄。やり直しを命じた。

 娘の名誉が傷つくのを恐れ、リベンジポルノについて告訴を見送っていた女子生徒の両親は、裁判のやり直しが決まってから「すべて処罰してほしい」と告訴。検察側はリベンジポルノの罪も追起訴し、再び裁判が開かれた。

 3月9日の被告人質問。

 弁護人「殺害の動機は」

 被告「自分が何者ともつかない、将来への悲観。彼女が他の男性と一緒になってしまうのではないかという焦燥感。そして彼女を失った喪失感からです。つらく、苦しく、悲しく、この苦痛を断ち切るには殺害するしかないと思いました」

 滑舌よく、抑揚をつけた話しぶり。被告の声は傍聴席の後方まではっきり届いた。

 弁護人「焦燥感とはどういうことか」

 被告「彼女が他の異性と交際する度に、自分の唯一性が失われてしまうということです」

 弁護人「唯一性?」

 被告「彼女にとって、自分が特別な存在だという意味です。彼女は私のすべてでした」

 裁判員には14年夏に開かれた前回裁判の被告人質問の様子がDVDで示された。その中で、被告は女子生徒と親しくなるまでの経緯を語っていた。

 DVDや冒頭陳述などによると、被告は日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれた。2歳から日本で過ごすが、4歳のときに両親が離婚。幼少期には母親が家に帰らず、1人で夜を明かすこともよくあったという。

 女子生徒とは11年7月ごろ、フェイスブックを通じて知り合った。被告は大阪在住。女子生徒は東京に住んでいたが、メッセージのやりとりを経て交際に発展した。被告は幼少期に継父に虐待されていたことなど、それまで誰にも打ち明けられなかったことを女子生徒に語るようになった。

 交際が深まる一方で、被告は女子生徒にうそをつき続ける。フェイスブックに書いていた被告の肩書は、関西の有名私立大の法学部生。実際は、高校卒業後は進学せず、コンビニでアルバイトをする生活だった。「劣等感に満たされ、インターネット上で人によくみられたいという思いがあった」(前回被告人質問のDVDから)

 被告は女子生徒に冷たい態度をとり始める。本当の肩書を言うと、「見下されてしまうかなと思いました」(同)。交際が自然消滅するのを狙っていたという。

 13年1月、女子生徒が別れを切り出す。ところが、いざ別れが現実になると、被告の態度は一変した。

 「自分は写真を持っているから…

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