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 「では前回に続き『映画の細かいことを気にしてみよう』シリーズ第2回を始めましょう」

 「単に似たネタが続いただけでしょ。その手に持ってるのは『心が叫びたがってるんだ。』ブルーレイね。映画が公開された昨年9月に、この欄で長々と語ってたじゃない?」

 「いやいや、細かいところで気になる点がいくつもあるんだってば。まずは『ここさけ』に大きく横たわる最大の問題『うわばき』から」

 「細かいことって言ってなかった? まあ、まずは物語の説明から始めたら?」

 「主人公の順は、子供のときのトラウマで言葉を発するとおなかが痛くなる女子高生。担任に『地域ふれあい交流会』の実行委員を3人のクラスメートと共に命じられる。気配りこまやかだが本音を見せない男子、拓実。ヒジの故障でくさっている野球部の元エース、大樹。元カレの拓実にわだかまりを抱える優等生、菜月。ピアノができて音楽に詳しい拓実に順が『心にため込んだ思いを歌にしてほしい』と頼んだことから、4人は順を主役にしたミュージカルを『ふれ交』で上演しようとクラスを引っ張っていく……。コレでいいかな?」

 「どうせネタバレなんでしょうから最後まで言っちゃいなさいよ。拓実に思いを寄せていた順が本番前夜に失恋し出奔。菜月が代演して幕を開け、拓実が必死の説得で連れ戻した順も舞台へ。全員が思いの丈を込めた大合唱で大団円。で、その『うわばき』問題とは?」

 「まさにその本番前夜、渡り廊下での拓実と菜月の会話を聞いてしまった順は、拓実の気持ちが菜月にあると知ったショックでうわばきのまま外へ飛び出す。路上で派手に転んでストッキングに大穴、ヒザに痛そうな擦り傷。翌朝、うわばきのままお城(ラブホテル跡)を見上げる順。一方学校では順の姿が見えず、うわばきがないから校内にいるはずだ、と捜すも見つからず」

 「なるほど、うわばきがないことで生徒らは勘違いをしてしまった、というのが『うわばき問題』?」

 「いやいや」

 「順は魂の抜け殻になって夜明けまでさまよい歩いて、トラウマの発端であるラブホ跡へ入っていったんでしょ? じゃあ、制服&うわばきの女子高生が夜通しほっつき歩いてなぜ補導されなかったのかが『うわばき問題』?」

 「いや、もうちょっと複雑で解けないナゾがあるんだ。あの晩の彼女の奇妙な行動に注目すべきだね。『え? 彼女は何もしませんでしたよ』『それが奇妙だというのです』」

 「ホームズねたの小芝居はいいから。話を進めて!」

 「順は1度家に帰った形跡があるんだ。ラブホ跡を見上げる順のカットを見ると、大穴が開いたストッキングに大きなパッチがあてられ、繕われている。自分で直したにせよ、そんな材料をいつも持ち歩いているのか? どこで直したのか? そして、ストッキングの大穴を直すくらい冷静になる時間があったら、夜通し街をさまよっているだろうか?」

 「なるほど、前にこの欄で分析…

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