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 14日夜に震度7で8人の死者を出した熊本県益城(ましき)町を16日未明、再び激しい揺れが襲った。わずかな違いが、生と死を分けた。

 16日午前1時25分ごろ、益城町宮園の中学校教頭、木下琢磨さん(55)は木造2階建て1階の居室で寝ていた。突然の揺れに驚き、目を覚ました瞬間、「バーンッ」という大きな音が家中に鳴り響き、2階部分が崩れ落ちた。

 「このままでは死ぬ」。両手で頭を抱えて身を小さくした。暗闇の中、目をこらすと隣の部屋で充電していた携帯電話が光っている。光を頼りに進むと、勝手口に通じる空間ができていた。食器を置いた棚が崩れて斜めになり、小さなスペースを作っていた。

 10分ほどで外に出ると、娘2人が待ち構えていた。肩を借り、町役場に逃げた。娘たちには前夜、屋内は危険だから車の中で休むよう伝えていた。「わずかなすき間があって何とか助かった」

 益城町安永では16日昼前、坂田龍彦さん(75)の自宅で、つぶれた1階から動かなくなった女性が運びだされた。妻由理子さん(68)の母山内由美子さん(92)だった。

 前夜は1階に母、2階に夫婦が寝た。地震で1階は一瞬でつぶれた。暗闇の中、由理子さんは「お母さん、お母さん」と必死に叫んだが、返事はなかった。

 14日は一晩、車で過ごした。その後、自宅がいいと思った母は避難所に行くのを嫌がった。「無理してでも連れて行けばよかった」と龍彦さんは悔やんだ。由理子さんは「昨晩もいつもと同じように食事をして、いつもと同じように別れた。まさかこんなことになるなんて」と肩を落とした。