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 避難生活では、疲れやストレスで食べ物を消化する力が弱る。子どもや高齢者だけでなく、大人でも体調を崩したときには、食べやすくする工夫が必要だ。

 管理栄養士・清水加奈子さんによると、温かいみそ汁やスープがある場合は、おにぎりやパンを崩して中に入れるのがいいという。水分を吸わせることで消化しやすくなり、食欲がない時でも食べやすい。のどにつまらせたり、せき込んだりすることも防げる。

 水分の補給は、体の代謝を促す効果もある。「食べ物を栄養として吸収するには、かんで、唾液(だえき)がでることも大事です」

 乾パンも温かい牛乳や汁物に入れると2、3分で、水でも10分弱でやわらかくなる。離乳食にもなる。

 避難生活が長引くと、おにぎりなど炭水化物中心の食事が続き、栄養が不足する。肉や魚の缶詰はたんぱく質の補給に役立つ。「油分でエネルギーを補うこともできる。ただ味が濃いものが多いので、ご飯やパンにのせたり、調味料代わりに汁物に入れたりすると食べやすい」と清水さん。

 缶詰はフタを開けて、カセットコンロに焼き網を載せて加熱できる。「缶はそのまま器にもなります」

 野菜はフリーズドライ加工したものだと、栄養素をはじめ食材の色や食感も残りやすく、食べ応えがあり、保存もきく。「汁物に入れるほか、水でもどしてサラダやあえ物にも使える」。最近はスーパーなどでも置かれており、支援物資としてもいい。

 熱風を使って乾かした「乾燥野菜」は栄養素の一部が減るものの、より手頃な価格で入手しやすい。トマトの缶詰やペーストは保存しやすく調理もしやすい。

 東日本大震災で自身も被災した宮城大の石川伸一准教授(食品学・栄養学)は、「避難所ではおにぎりやパンなど同じような食べ物が続き、精神的にもつらくなった」と振りかえる。カレーや豚汁などの炊き出しも、避難所によってはほとんどなかったり、全員に行き渡らなかったりすることがあった。

 「被災時の食事は画一的になりがちだが、災害弱者になりやすい高齢者や子どものためには、普段食べ慣れた味に近づけることで食べやすくなる」

 東日本大震災の避難場所では、水やカップ麺が配給されてもお湯が不足することが多かった。「温かいものを食べるとほっとする。避難が長期化するなか、お湯の配給や支援物資としてカセットコンロがあるといいと思う」