[PR]

 神奈川県座間市に住み川崎市で出版社を経営する男性(37)が、戦前の調査報告書「全国部落調査」に基づき、同和地区の地名リストなどをネット上に掲載したウェブサイトについて、横浜地裁相模原支部の古谷慎吾裁判官は18日、サイトを削除するよう命じる仮処分決定を出した。出版や放送などでの一切の公表も禁じた。

 部落解放同盟と組坂繁之委員長ら5人の「サイトは差別を助長し固定化に寄与する」との申し立てを「相当」と認めた。男性は「削除対象には私と関係ないサイトもあり、全部の削除は不可能。決定には従えない。これは表現の自由の問題。差別の意図もない」と反発。異議申し立てを検討している。

 男性のサイトをめぐっては、法務省東京法務局が「人権侵犯事件」として3月29日に削除を求める「説示」をしたが、男性は応じていない。解放同盟側もリストの削除を求め、4月4日に地裁相模原支部に仮処分を申し立てていた。

 決定に対し、解放同盟側の弁護士は「サイトの記載により、現実にプライバシーや名誉権の侵害が日々生じていることを裁判所が重く受け止めたと思う」と語った。

 男性は2月、「全国部落調査」を復刻した書籍の発売もネット上で予告。解放同盟側が「差別図書だ」として出版中止を求めたのに対し、横浜地裁は申し立てを認め、出版や販売を禁止する仮処分決定を3月28日に出している。(編集委員・北野隆一