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 神奈川県版の連載「迫る2025ショック」では、迫り来る超高齢社会に対して危機感を抱いて解決策を模索する人々の姿を追い掛けてきた。連載の終わりにあたって、神奈川県の2025年の姿を改めて紹介する。

 救急や入院治療などが完結できる地域単位として、県内には11の「2次医療圏」がある。国際医療福祉大の高橋泰教授は、医療圏ごとに、「医師が不足する危険度」や「介護難民に陥る危険度」を推計。地域ごとに深刻さの度合いに違いがあることを明らかにしている。

 推計によると、相模原、県央、川崎北部では75歳以上の高齢者が10年に比べ2倍以上に増える。中でも、県央と川崎北部は高齢化が急速で、現状でも医師が比較的少ないため、医師不足が深刻になると予想されている。

 また、横浜南部と川崎南部は、介護施設や高齢者向け住宅が足りず、介護難民が発生する恐れが特に高いという。ほかにも8医療圏が「準危険地域」で、介護の受け皿に不安がある地域は広範だ。高橋教授は「今は介護の態勢に比較的余裕のある医療圏でも、介護施設を求める人たちが東京都などから流入してくる可能性を考えると、決して安泰とは言えない」と話す。

病院のベッドも不足

 在宅で医療を受ける患者も、13年度に比べ約1・7倍に増えると推計されている。病院のベッドが足りなくなり、自宅で診療を受けざるを得ない人が増えるためだ。特に横浜西部と相模原は、2倍以上に増えると見込まれている。

 横浜市では、各区の医師会と連携して「在宅医療連携拠点」の整備を進めている。5月初旬に戸塚区にできると、全18区に拠点が出そろう。各区の医師会にある訪問看護ステーションなどが実際の業務にあたり、退院する高齢者に在宅医を紹介したり、ケアマネジャーらへ医療的な助言をしたりする。

 爆発的な高齢者の増加に対し、県も対応を急いでいる。昨夏から、25年の目指すべき医療提供体制を盛り込んだ「地域医療構想」の策定を始めた。今年10月までに策定を終え、来年度予算案に施策を反映させる。

 県の推計では、25年の必要病床数は、15年に比べ1万5千床余り多い約7万2400床。中でも、リハビリテーションなどを担う「回復期」病床は、15年の4倍超の約2万1千床が必要になるという。

貧困問題の拡大を懸念

 《小野沢滋・前北里大学病院トータルサポートセンター長の話》 85歳以上の女性が増え、貧困問題が拡大していくことを懸念している。例えば横浜市では、25年に85歳以上の女性が12万人を超える。だが今でも4分の1が世帯所得100万円未満で、生活が難しい。年金制度はこれほど老後が長くなることを想定していなかった。お金がかからない互助の仕組みを作らないと社会がもたないだろう。

2025年、神奈川はこんなに高齢化する

              2010年     2025年    

◇75歳以上人口      79万4000人  148万5000人

◇65歳以上の独居高齢者  29万3000人  46万2000人 

◇65歳以上の認知症高齢者 17万3000人  29万6000人 

県内の2次医療圏

・横浜北部(鶴見区、神奈川区、港北区、緑区、青葉区、都筑区)

・横浜西部(西区、保土ケ谷区、旭区、戸塚区、泉区、瀬谷区)

・横浜南部(中区、南区、港南区、磯子区、金沢区、栄区)

・川崎北部(高津区、宮前区、多摩区、麻生区)

・川崎南部(川崎区、幸区、中原区)

・相模原(相模原市)

・横須賀・三浦(横須賀市、鎌倉市、逗子市、三浦市、葉山町)

・湘南東部(藤沢市、茅ケ崎市、寒川町)

・湘南西部(平塚市、秦野市、伊勢原市、大磯町、二宮町)

・県央(厚木市、大和市、海老名市、座間市、綾瀬市、愛川町、清川村)

・県西(小田原市、南足柄市、中井町、大井町、松田町、山北町、開成町、箱根町、真鶴町、湯河原町)