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 熊本県で震度7を最初に観測した地震から21日で1週間。16日未明には、阪神大震災(1995年)級の「本震」も起き、死傷者数は一気に増え、家屋などへの被害もさらに広がった。その後も強い余震が続いており、不安な日々が続く。

被災者 熊本県内、重軽傷1000人

 14日の前震では、熊本県益城(ましき)町を中心に9人が死亡、九州で計1千人超が負傷した。16日未明の本震で死者は増え、20日午後6時現在、計48人に。死因は家屋倒壊による圧死や窒息が多い。熊本県内では、安否不明者は2人。重傷者は計210人、軽傷者は計885人など合わせて1千人超。

 熊本県の発表では、災害関連死の可能性がある死者も11人いた。熊本市が7人と最も多く、車中泊により肺塞栓(そくせん)症(エコノミークラス症候群)で死亡した人も含まれる。

 県内の建物の被害は20日午後6時現在、全壊1454棟、半壊1324棟に上る。益城町役場と、宇土(うと)、八代(やつしろ)両市役所は崩壊の恐れがあり使えなくなった。

 避難者数は、前震後は約4万4千人で、15日にいったん減ったが、本震を受け急増。17日午前9時半には熊本県内で18万人を超えた。20日午後1時半現在、約9万2千人が避難生活を余儀なくされている。相次ぐ余震への恐れから、車中泊を続ける避難者も多い。

 20日午後7時までに震度1以上を観測した地震は707回、このうち震度4以上が90回に上る。

ライフライン 断水なお9万戸以上

 電気や水道、ガスにも大きな影響が出た。

 16日の本震後、熊本県内だけで一時、18万戸以上が停電した。大規模な土砂崩れで阿蘇市などへの送電線が使用できなくなり、復旧に時間がかかった。九州電力は20日、最後まで残っていた阿蘇市と南阿蘇村の計約2700戸の復旧作業にあたり、全て復旧した。

 水道は、配水管が破損したり、地下水が濁って飲料水に適さなくなったりしたため、最大で39万戸が断水した。九州各県の自治体や自衛隊、海上保安部などが給水車で、給水支援をしている。被害の激しい熊本市や宇城(うき)市、益城町などで少なくとも約9万8400戸が断水したままだ(20日午後3時現在)。

 西部ガスは本震後、火災などの二次被害を防止するため、熊本市や益城町など2市5町の計約10万5千戸への供給を止めた。20日正午までに東京ガスや大阪ガスなど全国から1200人が応援に入って復旧作業を始め、計488戸のガス栓を開いた。完全復旧の見通しは立っていない。

観光・文化施設 温泉地、連休前に打撃

 14日の前震では、瓦が落ちた程度だった熊本城(熊本市)だが、16日未明の本震により、東側の東十八間櫓(やぐら)と北十八間櫓(いずれも国指定重要文化財)が土台の石垣ごと崩れ落ちた。17世紀に加藤清正が築城した当時から残る櫓だった。

 熊本県阿蘇市の阿蘇神社も16日の本震で、国の重要文化財に指定されている2階建ての楼門が倒壊。拝殿も全壊した。

 全国有数の温泉地を抱える熊本・大分両県。本来なら多くの観光客でにぎわうはずの大型連休を前に、宿泊施設の休業や宿泊客のキャンセルが相次ぐ。

 阿蘇市にほど近い黒川温泉の黒川荘(南小国町)は客室に被害はないが、温泉が使えなくなり、2千人以上の宿泊を断らざるを得なかった。5月いっぱいは営業できないという。

 大分県由布市によると、由布院温泉は被害のない旅館が多いが、地震直後に大量にキャンセルが出た。由布院温泉旅館組合は、被害を受けた旅館も大型連休に向けて急ピッチで準備を進めている、と説明している。

交通 新幹線脱線、高速不通

 鉄道や道路にも甚大な被害が出ている。

 九州新幹線は前震で、JR熊本駅近くに向かっていた回送列車(6両編成)が脱線。JR九州は18日、車両を線路に戻す作業を始めた。国土交通省によると、九州新幹線の線路周辺の防音壁など約150カ所で破損が確認された。

 20日には新水俣―鹿児島中央間の運転を再開した。ただ博多―新水俣間は全線で運転を見合わせており、在来線は一部区間で終日運転を見送っている。

 熊本空港は、本震で空港ターミナルビルの天井板が落下するなどの被害が出たため、閉鎖された。19日に民間旅客機の一部の運航が始まり、空港ビルも部分的に再開された。

 高速道路は熊本、大分両県を中心に、道路が陥没したり、のり面が崩落したりしており、熊本県甲佐町では跨道(こどう)橋が九州道上に崩れ落ちた。20日午後5時現在、九州、大分の両自動車道と九州中央自動車道の4区間が全線通行止めになっている。一般道も各地で寸断され阿蘇大橋は崩落した。