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 熊本県内の地震の被災地で、ごみが山積みになっている。家庭や避難所から出るごみや倒壊家屋の瓦や柱。生活ごみの処理を担う同県益城町の施設は、地震の影響で稼働の見通しがたっていない。事態を重く見た全国の自治体が、支援に乗り出している。

 14日と16日に最大震度7を観測した熊本県益城町にある「益城クリーンセンター」。町内の各家庭や避難所から持ち込まれた生活ごみが、敷地内に高く積み上がっている。パンの袋や容器……。

 センターは益城町など周辺3町村でつくる組合が運営するが、焼却炉や不燃物の破砕機などが地震で損壊した。「余震が続いているので、点検も思うように進まない」(関係者)という状態で、稼働の見通しは立っていない。このため、町はほかの自治体にごみ処理を代行してもらう方向で調整を続けている。

 自治体を悩ませるのは生活ごみだけではない。

 「分別にご協力を」。入り口の立て看板にこう書かれた同町中心部の小学校跡地は、災害ごみ置き場となっている。21日午前8時すぎ、ショベルカーの大きな音が響き、トラックや乗用車が慌ただしく出入りした。荷台や後部座席にはコンクリート片や割れたガラス、鏡台などが積まれている。若い男性警備員が「何をお持ちになりましたか」と、運転手に尋ねたうえで誘導していた。

 町は前震翌日の15日から、この仮置き場を設置した。少しずつ間隔を空けて置かれた家電製品や畳、瓦、ブロック、木材片などの山は、高いところでは5メートルほどもある。

 ここにごみを持ち込むのは、自宅が地震で倒壊するなどした住民や業者ら。益城町のまとめでは、確認した町内の住宅の約半数にあたる計5400棟に一部損壊以上の被害があった。木造家屋も多く、大量の震災がれきが発生。同町の自動車会社員、村上賢一郎さん(27)は「自宅は一瞬で倒れ、全壊した。タンスも食器も洋服も全部ダメだった」と肩を落としながら、トラックの荷台から瓦などを下ろしていた。

 被災地で積み上がっていく生活ごみやがれきの山――。災害ごみ置き場にいた町の男性職員はこう漏らした。「人手も、(置く)土地も足りない」(稲垣大志郎)

生活ごみに対応、各地から収集車

 熊本県などでの一連の地震で避難所などから出る生活ごみの収集が、週内にも毎日行われる見通しになった。21日以降、全国の大都市からパッカー車(収集車)などが続々と現地入りすることになったためだ。回収時や仮置き時の分別も進め、ごみ処理作業の加速をはかるという。

 環境省が、全国の指定市や広域事務組合などで作る全国都市清掃会議に支援を要請。同会議は被災自治体と協議し、支援の規模などを検討した。東日本大震災の際にも、会員都市から仙台市などにパッカー車や、し尿処理用のバキュームカーを派遣した実績がある。

 神戸市は「阪神大震災でお世話になった恩返しがしたい」と積極的に動き出した。20日には先遣隊を出し、21日から被害の大きい熊本県益城町にパッカー車9台を派遣する。被災地で最多の避難住民を抱える熊本市にも同日以降、福岡市が3台、広島市が7台、京都市が3台などを順次派遣する方針だ。

 こうした対応により、通常の週2、3日の回収日を増やし、週内には連日にする見込みという。集められた生活ごみは、県内の稼働中の施設のほか、福岡県でも受け入れる計画だ。

 一方、2015年に豪雨災害に襲われた茨城県常総市では、がれきや生活ごみがまとめて1次仮置き場に運び込まれた。分別が不十分なため、処理業者が見つからないなどして、処理開始が遅れた。環境省の井上信治副大臣は「避難している状況の中で要求するのは難しいが、後々を考えると分別は重要だ」と話す。(小坪遊