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 自宅が安全な場所とは限りません。埼玉県に住む元看護師の女性(75)は今年正月、自宅の階段を踏みはずして転落。左のももに激しい痛みが走り、動かせなくなりました。「足が折れている」と直感して救急車を呼ぼうとしましたが、近くに電話がありません。部屋の中をはうようにして進み、受話器を握るころには30分が過ぎていました。一人で家にいる時に動けなくなったら、あなたはどうしますか――。

 

階段、2段落ちただけで

 埼玉県北足立郡に住む元看護師の女性(75)は今年の元日、自宅で新年会を開いた。夫が亡くなって以降、一人暮らしだが、この日は県外から長男(44)や次男(42)夫婦らが集まり、にぎやかに食卓を囲んだ。孫娘(4)は、重箱入りの黒豆など、用意した手作りのおせち料理を喜んで食べた。

 長男たちが帰り、再び家の中で一人になった翌2日午後4時ごろ。2階のベランダに干していた洗濯物を取り込んで、階段を下りた。下から2段目あたりに重箱を載せたトレーが置いてあるのは覚えていた。だが、両手で抱えた洗濯物に隠れて足元がよく見えない。階段の右隅にあったトレーの角を右足で踏んでしまった。

 バタン! 重箱ごとトレーがひっくり返った。体が投げ出され、左のももを床に激しく打ちつけた。左足に気が遠くなるほどの強い痛みが走った。

 ショックで5分ほど、ぼうぜんとしていた。「しばらくすれば治まるかも」。期待したが、少しもよくならず、左足が動かせない。

 「この痛みと下肢の機能消失。これは足が折れている」。職業柄そんなことを考えた。

 「救急車を呼ばなければ」。だが、携帯電話は身につけていなかった。1メートルほど離れた8畳の和室の奥には固定電話がある。「低い台の上にあるから、あれなら立てなくても手が届く……」

 和室の入り口まで10分ほどかけて、にじりよった。動かなくなった左足を、近くにあった座布団の上にそっと乗せ、両手で運ぶように支えながら、さらに和室の中をはって進んだ。30分ほどかかってようやく電話に手が届いた。119番をかけた。

 「階段から落ちて…」

 このままでは救急隊員が玄関の鍵を壊さないと入れない。今度は和室から和式の小庭に出られるガラス戸まではっていき、内鍵を開けた。

 自宅から車で10分ほどの伊奈病院(埼玉県伊奈町)に運ばれた。X線検査を受け、当直医から「骨折していますね」と告げられた。

 「たった2段落ちただけで、こんなことになるなんて」。自分の身に起きたことが信じられなかった。

 

X線写真にがくぜん

 今年1月2日、自宅で階段から落ちた埼玉県の元看護師の女性(75)は、近くの伊奈病院(埼玉県伊奈町)に入院した。X線検査で左足の「大腿(だいたい)骨顆上(かじょう)骨折」と診断された。太ももの下の方、ひざの上あたりの骨が折れていた。

 「大腿骨がばらけてる……」

X線写真を見せられてがくぜんとし、声も出なかった。

 主治医は人工関節手術や骨粗鬆…

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