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 新潟県佐渡市で、ともに自然のなかで生まれ育ったトキのペアからひなが生まれた。環境省が22日、発表した。2008年にトキの放鳥が始まって以来、「純野生」の両親からのひなの誕生は初めて。自然界で最後にひなが生まれたのは1976年で、40年ぶり。トキは人の手を離れ独り立ちしてゆく段階に進んだことになる。

 環境省によると、親鳥のペアはともに放鳥されたトキの両親から13年に生まれた。佐渡市内で抱卵中だったペアの巣を撮影したビデオを確認したところ、21日午後3時半ごろに親鳥がひなにエサを与えている様子が確認できた。20日夕方以降に、誕生した可能性が高いという。

 放鳥されたトキから、自然のなかでひなが初めてかえったのは12年。これまでに、放鳥トキと自然界で生まれたトキのペアから誕生した例はあったが、「純野生」ペアからはなかった。自然界での誕生は今回のひなも含め83羽になった。

 52年に国の特別天然記念物に指定されたトキは乱獲や開発などで激減し、自然界でひなが巣立ったのは74年が最後。76年には孵化(ふか)したが、巣立ちに至らなかった。03年には国産最後のトキが死に、中国から送られたトキを人工繁殖し、放鳥する取り組みが進められてきた。

 丸川珠代環境相は22日の閣議後記者会見で「実に40年ぶりに野生下で育った両親から、人の手が全く加わらないところで、ひなが生まれたことは本当に喜ばしい」と述べた。

 1年以上生息するトキの個体数は現在、佐渡を中心に約100羽。自然に繁殖できる状態に戻すため、環境省は、20年度で佐渡島内で220羽にすることを目指している。(原裕司、小坪遊