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キユーピー「やさしい献立」

 人間は食べるとき、かむ力やのみ込む力を使う。この機能が低下してもおいしく食べられるように、やわらかさや栄養バランスを考えて作られているのが、介護食品だ。病院や施設で使う業務用のものは以前からあったが、家庭で使える介護食品が日本で最初に市販されたのは1998年。キユーピーが発売した。

 開発当初から担当する同社研究開発本部商品開発研究所の加工食品開発部チームリーダー伊藤裕子さん(49)は、発売した頃、高齢者が市販のベビーフードを食べている、という新聞記事を見た。

 ベビーフードは月齢に合わせてやわらかさを調整し、塩分を大幅に減らしてつくられている。でも、高齢者の好みとは違う。また、高齢者の誤嚥(ごえん)を防ぐため、ベビーフードにはない「とろみ」が欠かせない。

 「高齢者には和食、特に煮物が好まれます。塩分を気にされる方が多いので介護食品では塩分を抑えています。また、年をとると甘み以外の味を感じにくくなるといわれるので、だしと薬味で味をしっかり感じてもらえるようにしています」

 かつおだしと昆布だしを使い分け、味にメリハリをつけるのがポイントだ。根菜類など、家庭でやわらかく処理するのに手間がかかる素材を使ったメニューにも力を入れているという。

 また、たんぱく質は加熱すると硬くなるため、肉の加工は難しい。やわらかいひき肉は使いやすいが、ボロボロだと食べにくいため、とろみをつけている。

 「とろみがあるということは、口の中で味を感じる時間が長いということ。そのときに味気ないと食が進まないので、味つけは濃いめに。とろみも片栗粉を使うだけでなく、口の中でばらけず、まとまるように工夫しています」と伊藤さん。

 商品開発には、介護施設で話を聞くなどして集めた、介護を受ける側と介護する側の声を参考にしている。

 同社家庭用本部加工食品部の介護食・ヘルスケアチーム、中束美幸さん(42)によると、在宅介護を受ける人が食欲不振を訴える例が多いという。「でも、好きなもの、懐かしいものと記憶が結びつくと、食べていただけるんです」

 懐かしさで人気のメニューといえば、「すりおろし果実 りんご」。子どもの頃、病気になったときに食べたことを思い出すのだろう。パイナップルも同じく好評だ。おかずでは、和食の定番が強い。

 でも実は、同社が市販する介護食品の中で最も売れているのは、「おじや親子丼風」と「やわらかごはん」だ。

 「介護する側が料理に手をかけられないとき、『おじや親子丼風』1品で食事になる。おかゆ1人前を毎日炊くのは大変ですが、『やわらかごはん』は毎日使えて便利なのだと思います」と中束さん。

 家庭でおかゆを炊いたとき、水分が残ると誤嚥につながりかねない。1人前だけを炊くのは手間がかかるし、水っぽさをなくそうとミキサーにかけて混ぜたり、とろみ調整剤を加えたりするとベチャベチャになってしまう。ちょうどいい具合におかゆを炊くのは、簡単なことではない。

 製造する際、実はレトルトパウチの中で米を炊いている。シンプルなだけに、何かを加えると味が出てしまう。均一に水を吸わせ、躍らせるのは難しい。独自の製法で特許を取った。

 1998年の発売当初はレトルト食品を嫌がる高齢者が多かったが、いまは広く浸透して抵抗感が薄れてきた。

 ただし、一般的なレトルト食品と介護食品では食べ方が違う。一般的なものは袋ごとお湯に入れて沸騰させ、温めて食べる。しかし介護食品は、レトルトの袋ごとお湯に入れるだけでいい。袋の裏側に説明が書かれている。

 熱湯に入れて沸騰させると、取り出すときに高齢者がやけどをする原因になる。逆に、全く加熱しなくても食べられるので、災害時の非常食として備蓄しても便利だ。たくさん買って保存する人も多いそうだ。

手軽にアレンジも

 レトルトの介護食品をそのまま食べるだけだと飽きるかもしれない。そんなときに手軽で簡単なアレンジ方法を教えてもらった。

 用意したのは、「海老(えび)だんごのかきたま」と「すき焼き」、「牛ごぼうしぐれ煮」、そして「やわらかごはん」の計4品。それぞれを袋ごとお湯に入れて数分待つ。他に絹ごし豆腐と温泉卵、そして刻みネギを準備した。

 まず、絹ごし豆腐半丁をさいの目に切ってお皿に。その上に「海老だんごのかきたま」を乗せた。とろみのあるあんが豆腐と絡み合う。豆腐を加えることで、あっさりした味になる。

 「すき焼き」には温泉卵を乗せた。味にコクが出る。刻みネギを散らすと見た目もきれいだ。

 「やわらかごはん」に「牛しぐれ煮」を乗せると、これだけで1食分の食事になる。ごはんが進む。

 「あまり難しく考えず、ふだん冷蔵庫にあるような食品を使っていただくだけで、簡単にアレンジできます」と伊藤さんは話す。

     ◇

 〈キユーピー〉 1919年設立の食品メーカー。25年発売のマヨネーズで知られる。60年にベビーフード、72年にジャネフブランドの健康食品を発売。流動食や治療食にも力を入れ、98年に市販用介護食品を発売した。

 商品情報などは「やさしい献立(介護食)」のページへ。

 http://www.kewpie.co.jp/products/care/index.html別ウインドウで開きます

 商品に関する問い合わせは「キユーピーお客様相談室」(電話0120・14・1122、9時―17時半、土日祝日除く)。(坂本真子)