[PR]

 チェルノブイリ原発事故後のベラルーシと現在の福島で危険な「安全」キャンペーンが繰り返されている――。フォトジャーナリストの広河隆一さんはそう指摘した(「核の神話:22」で紹介)。その中心にいるのは国際放射線防護委員会(ICRP)副会長のフランス人、ジャック・ロシャール氏だという。ロシャール氏はベラルーシで「エートス」と呼ばれるプロジェクトを指揮し、今は頻繁に福島を訪れている。

     ◇

福島県立医科大主催で3月8日に開かれた「東日本大震災・福島原発事故5年国際シンポジウム」でのロシャール氏の発言要旨

 この5年間、福島についての様々な活動やIAEA(国際原子力機関)などの国際機関が開く会合、日本の組織や専門家らが開く会合に参加してきました。日本の多くの人々や組織と、深く特別な関係を築くことができました。福島県立医科大との実り多い協力、特に伊達市や住民団体「福島のエートス」は我々の活動に非常に協力的でした。

 チェルノブイリ事故の経験とともに、これからICRPが出す勧告には、福島のあらゆる教訓を盛り込もうと考えています。ICRPは福島の人々とともにあります。

 私自身がこの問題に関わり始めたのは1990年夏、IAEAの国際チェルノブイリ・プロジェクトを通じてでした。原発30キロ圏からの住民避難のコスト・ベネフィット(費用効果)を分析するのが任務でした。その時、私の放射線防護の科学は、住民の疑問や不安にはあまり役立たないと感じました。

 そのあと、キエフからミンスク行きの夜行列車で乗り合わせた地元の若い男性と話し込みました。彼が「(フランス人の)あなたたちが一体ここで何をしているのですか」と尋ねてきたので、チェルノブイリ事故関連の仕事で来たと告げました。そうすると、彼は自問するようにこう言ったのです。「この地域の女性とは、結婚できないでしょう」。私は大江健三郎氏の本などを読んでいたのでピンときました。広島への原爆投下後に起きたこと(差別)が起きようとしている。これが私にとっての転換点になりました。

     *

 90年代半ばから、「エートス」と、それに続く「コール」プロジェクトをベラルーシで進めました。汚染地に暮らす住民の生活環境改善をめざすものです。放射線にどう対応していいのか分からず、住民らは日常生活のコントロールを完全に失っていました。

 当初は住民らから懐疑的な目で…

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら