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 東京・芝のランドマーク芝大門。明治初頭に増上寺からこの大門を譲り受けた東京都が今春、138年ぶりに無償で返還した。戦後、伽藍(がらん)整備を進める寺側が返還を求めたものの、都の財産目録に見当たらず、約40年間、所有者が宙に浮いたままになっていたという。

 大門は広大な敷地を有した増上寺の四門の一つ。1871(明治4)年の新政府の上知令で寺領が没収された同寺は78年、管理が難しくなったとして四門を東京府(当時)に寄付した。そのうち大門だけが残り、1937年に東京市(当時)が従来の木製から鉄筋コンクリート製に造り直し、現在に至っている。

 同寺の記録によると、門の所有を巡って都と増上寺との間で問題になったのは74年。本堂建立や伽藍の整備を進めていた寺側が大門の返還を求めたところ、都側は「都の財産目録になく、譲渡はできない」などと回答。足踏み状態が続いていたという。

 ところが、その間も大門は老朽化し、東日本大震災の際には瓦の一部が落下。地元振興会や港区議会から安全性の確保を求める声が上がっていた。

 都公園課の担当者は「ここ数年調査し、財産目録から抹消してしまったことがわかった。資産価値はなく無償で譲渡することにした」と説明している。

 寺側は「表門である大門が戻ってきたことは喜ばしい。まずは瓦のチェックや強度計算などをし、今年度中に補修を始めたい」。(藤生明)