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 気がつけば目の前で、愛車から火が出ていました。茨城県に住む男性(46)は自損事故を起こし、運転席で意識を失っていたところを通行人に声をかけられました。車内には煙が充満し、着ていた服は燃えていました。男性は胸や腹、手足にやけどを負い、ドクターヘリで東京の病院へ搬送。やけどの面積が広いため、自分の皮膚を培養した「培養表皮」も移植することになりました。

服は燃えたが、体に痛み感じず

 曇りの日の朝だった。

 2014年5月23日午前7時すぎ。茨城県笠間市に住む美容師の男性(46)は、外出先から自宅に向けて、大型四輪駆動車を走らせていた。

 自宅まであと10分ほどの山中の曲がりくねった道。下りの左カーブにさしかかった。気がつくと、道路右側のガードレールが目前に迫っていた。そのまま衝突、車はガードレールを突き破り、車体が半分、道路の外に飛び出した。

 男性はハンドルに突っ伏した状態で気を失った。直後に、前部ボンネットのエンジン付近から火と煙が上がった。事故直後に軽トラックで現場を通りかかった農業の男性(82)が車を降りて、事故車両に駆け寄った。運転席側のドアを開け、「おい、すぐ出ろ。火が出ているぞ」と叫んだ。

 運転席にいた男性は、その声で意識を取り戻した。車内には煙が充満し、着ているワイシャツやズボンが燃えていた。男性は慌てて車外に出て、服を脱いだ。

 下着姿で道路脇の土手に座り込み、黒煙を上げて燃え続ける車をぼんやりと眺めた。

 「何が起こったのだろう。なんで、僕の車が燃えているんだ?」

 事故のショックで、正常な判断ができなくなっていた。記憶も断片的にしか残っておらず、どこからの帰り道だったのか、外出した目的も思い出せなかった。

 警察の現場検証によると、車は時速30キロほどで走っていたらしい。もしガードレールがなかったら、5メートル下の崖に落ち、生死はわからなかった、と後で警察官に聞かされた。事故は自損事故として処理された。

 事故を見つけた男性が、救急車を呼ぶために軽トラックで1キロほど離れた一番近い民家に向かってくれた。道路脇に座ったままの男性は、まだ自分が胸や手足に大やけどを負っていることに気づいていなかった。不思議と、体のどこにも痛みは感じなかった。

 「車のドアにカギがかかっていたら、たぶん助からなかったな」

 「同乗者がいなくて、自分ひとりだけで本当によかった」

 近づいてくる救急車のサイレンの音を聞きながら、そんなことを考えていた。

34%に及ぶ「生死の境目」

 茨城県笠間市の美容師の男性(46)は2014年5月、大型四輪駆動車を運転中、自宅近くでガードレールに衝突する自損事故を起こした。車は炎上し、胸などに大やけどを負った。

 ヘリポートのある水戸市内の水戸済生会総合病院に運ばれ、そのまま医師と看護師とともにドクターヘリに乗せられた。消防署から連絡を受けた両親も駆けつけていた。ただ、受け入れ病院が決まっておらず、「ひとまず東京まで運びます」とだけ聞かされた。飛び立つ直前に麻酔薬を注射され、眠りに落ちた。

 約30分後、ヘリコプターは東…

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