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 熊本県などでの一連の地震で犠牲になった49人の死亡時の状況を分析したところ、7割超の37人が家屋の倒壊で、2割弱の9人が土砂災害で亡くなっていたことが分かった。家屋倒壊で死亡した37人中、少なくとも20人がいた家屋は、耐震基準が厳しくなる1981年6月以前に建てられたことも判明。土砂災害の9人中7人は、事前の危険性周知などを義務づけた「警戒区域」でない場所で亡くなっていた。

 南海トラフ地震など巨大地震への備えが全国的な課題となる中、住宅の耐震化や災害危険箇所の洗い直しが求められている。

 朝日新聞は、49人が亡くなった場所についての熊本県警の発表や親族らから得た証言などを元に被害状況を調査。建物の建築年月は不動産登記簿などで確認し、専門家の助言も得た。

 「家屋倒壊死」の37人のうち7人は「前震」で、残り30人は「本震」で死亡。このうち少なくとも8人は、いったん避難所に行ったり車中泊したりした後、帰宅して亡くなった。

 家屋倒壊死の37人がいた34棟のうち28棟は建物が登記されていた。うち17棟(19人が死亡)が、震度6強~7程度で倒壊しないことを目標とする「新耐震基準」が建築基準法改正で導入される前に建てられた木造家屋だった。親族らが「築100年以上」と証言した同県益城(ましき)町平田の1棟を含めると、少なくとも導入前の建物は18棟(20人が死亡)に上った。

 このうち、市町村別では、震度7が連続して犠牲者数が最多だった益城町が10棟(12人死亡、以下同)を占めた。熊本市3棟(3人)、南阿蘇村2棟(2人)、嘉島町2棟(2人)、西原村1棟(1人)だった。

 南阿蘇村では、3カ所の土砂崩れに9人が巻き込まれて死亡。うち土砂災害防止法に基づく警戒区域に指定されていたのは、2人が亡くなった同村立野地区だけで、ほかの2カ所は区域外だった。また、益城町では男性が塀の下敷きになり、八代市では地震後の火災で女性が死亡した。

 一方、県によると、震災後の体調悪化や避難生活の身体的負担などが引き起こす「震災関連死」の疑いがある人は30日現在で17人。うち少なくとも7人が16日の本震から半日以内に死亡した。熊本市の女性は、車中泊を続けた後にエコノミークラス症候群(肺塞栓(そくせん)症など)で亡くなった。益城町では、倒壊家屋の中から見つかった後に死亡した女性が、警察の検視で死因が確定していないため「関連死疑い」とされている。

 住宅の耐震化は、震災時に津波以外の死者数を減らす最も有効な策とされ、政府は「20年までに少なくとも95%」という数値目標を掲げる。熊本県によると、県内の住宅の13年の耐震化率は推計76%で、全国平均82%よりも低い。(奥村智司、渡辺純子、伊東和貴)