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 厚生労働省が指針を決めて市区町村が実施する「がん検診」の対象には年齢の上限がない。しかし、検査には高齢者特有のリスクもあり、利益より不利益が上回るという指摘もある。海外では上限を設ける国もある。高齢者のがん検診をどう考えたらいいのだろう。

内視鏡やバリウムでトラブルも

 さいたま市南区の病院「ただともひろ胃腸科肛門(こうもん)科」には、大腸がん検診で「精密検査が必要」と言われて来る80歳以上の高齢者が時々いる。厚労省の指針による大腸がん検診は、便を調べる便潜血検査と、「要精検」と判定された人を対象にした大腸内視鏡検査の2段階。大腸のX線検査をすることもある。

 検診の対象は40歳以上で上限はない。ただ、高齢になれば内視鏡で腸に穴が開くなどのリスクを考慮しなくてはならない。病院の多田智裕・理事長は「90歳で大丈夫な人もいるが、個人差は大きく、検査をしても大丈夫だろうかと思う人はいる」と話す。CTで大腸を調べることも可能で、リスクを説明したうえで本人に決めてもらうという。

 胃がん検診では、内視鏡検査以外にバリウムを飲んで受けるX線検査がある。宮城県対がん協会がん検診センターの渋谷大助所長は「水分を十分取らない人や便秘が増える高齢者はリスクを考慮すべきだ」と指摘する。

 日本消化器がん検診学会による2013年の調査報告では、X線による胃がん検診の受診者381万人余りのうち、腸閉塞(へいそく)を起こした人が10人、腸管に穴があいた人が6人いた。6人のうち5人は60歳以上。バリウムが排泄(はいせつ)されず、硬くなって腸の壁にとどまったためとみられる。

 がん検診を実施している大阪がん循環器病予防センター(大阪市)の池宮城賀恵子(いけみやぎかえこ)調査室長は、高齢者から「検診はいつまで受けたらいいですか」と聞かれると「検査をつらいと感じない元気な間は、お越し下さい」と答える。年齢や過去の病歴、歩き方、表情をみてリスクがありそうな人には「検診を受けて、かえって体調が悪くなっては検診の意味がないですよ」と説明する。高齢者の場合、検査に不安を感じているようであれば、受診は勧めないという。

 子宮頸がんや乳がん、肺がんを含め、がん検診の対象に年齢の上限はないが、国立がん研究センターがん対策情報センターが作った自治体担当者向けのマニュアルでは「高齢者への受診勧奨は慎重に行う必要がある」とある。「一律に検診を促すよりも、個人の判断で必要だと思った検査だけを受けていただくことが適切です」としている。

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