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 かつて「東の羽生、西の村山」と羽生善治名人(45)と並び称されながら29歳で逝った将棋棋士、村山聖(さとし)さんに再び光が当たっている。死から18年をへて専門誌が特集を組み、秋には生涯を描いた映画が公開される。村山さんの将棋にかけた情熱は、いまも後輩棋士に息づいている。

 大阪市福島区の関西将棋会館3階に棋士室がある。棋士やその卵である奨励会員らが集い、研究にいそしむ。17歳でプロになった村山さんはここの主(ぬし)のような存在だった。背中を丸め、盤面と向き合っていた。

 久保利明九段(40)は奨励会員だった小学生のとき、村山さんに声をかけられ、親しく教えてもらう間柄になった。村山さんが6歳年上で格段に強かったが偉そうに振る舞うこともなく、行きつけの食堂でよくごちそうしてくれた。

 「いまも村山先生の思い出を口にする人は多い。いつまでもみんなの心の中にいる」と懐かしむ。

 「怪童」と呼ばれた村山さんは終盤でずば抜けた強さを見せ、23歳でタイトル戦にも登場した。子どものころに腎臓の病気「ネフローゼ」を発症し、病と向き合いながら将棋に打ち込んだ。97年にぼうこうがんが見つかり、手術。「将棋に影響する」と抗がん剤を拒んだ。翌年、がんが再発して亡くなった。日本将棋連盟は最高段位の九段を贈った。

 2000年、師匠の森信雄七段(64)に支えられながら歩んだ棋士人生をつづったノンフィクション「聖の青春」がベストセラーになった。著者の大崎善生さん(58)は「羽生さんと同じぐらいの天才だったが、強いだけでなく無償の優しさがあった。だから好かれ続ける」と話す。

 本が原作の映画「聖の青春」(配給KADOKAWA)は今秋公開を控える。村山さんを演じるのは、俳優の松山ケンイチさん(31)。実像に近づこうと体重を大幅に増やして撮影に臨んだ。「自分もこんな風に“本気”になりたい、と思わされた人物。一生に一本の作品になった」。監督の森義隆さん(37)は村山さんの魅力について、「甘えん坊だったり、ものすごく荒っぽかったり、とても多面的」と言う。

 映画化にあたって、専門誌「将棋世界」は2月号で村山さんを特集した。羽生名人や谷川浩司九段(54)が村山さんの将棋を語り、雑誌の売れ行きも伸びた。羽生名人は「村山さんの生き様は普遍的に人の心に訴えるものがある。生きていたら、同世代の多くの棋士と同様にタイトル戦で実績を残しただろう」と話す。2人の対局は、羽生名人7勝、村山さん6勝とほぼ互角だった。(村瀬信也

村山聖を演じる松山ケンイチさんにインタビュー

 ――撮影が終わったいまの心境は

 あと1カ月半ぐらいやっても楽しいだろうな、と思える役だった。演じていて気持ちいいというか。不思議だったんですよね。せりふもスッと入ってきたし、台本を見て悩むことはあまりなくて。

 村山聖という人間って、人と考えていることが違う。勝負事に生きている人間。生きることや勝負に辛(から)い人で、演じていてすごくいい生き方をしているなというか。そういうのが楽しかったんじゃないかな。

 ――松山さんがこの役を演じた…

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