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 この春、事故から30年になるチェルノブイリ原発の被災3カ国を訪れた。現地取材は5回目、10年ぶり。福島第一原発事故が起きてからは初めてだ。強く感じたのは、ウクライナ、ベラルーシ、ロシアのどの国でも、原発事故への関心が相当に薄れていることだ。

 最大の原因は直接の被災者であり、望郷の念が強かった老人たちの多くが亡くなっていることだろう。そして30年という時間経過の中で、どの国でもさまざまな問題が起き、チェルノブイリだけが特別な関心と扱いを受けることはなくなったともいえる。福島の将来が透けて見える。

 私はウクライナの首都キエフ南郊にあるボロービチという村を1990年以降、何度か訪れている。チェルノブイリからの疎開者でできた村だ。90年代の訪問では、老人たちは「元の村はよかった、村に帰りたい」という話を繰り返していた印象がある。

事故知る世代、半数消える

 今回の取材では「村ではチェルノブイリの話はあまり出ない」と聞いた。ボロービチ村は86年に疎開者357人で始まったが、2016年までに半数近い165人が亡くなったという。昔の村と事故を知る世代は大半が消えたことになる。

 チェルノブイリ3カ国では基本的に、住民がいったん移住して無人になった地域に住民をかえすプログラムはない。汚染が残るので農業で生活ができないし、生活インフラの再建にお金がかかりすぎるからだ。それでも老人たちは、「帰村」のうわさにすがり、あきらめ、死んでいったのだろう。

 ベラルーシの首都ミンスクで「チェルノブイリ傷病者の会」のメンバー5人に会った。いわゆる「リクビダートル」(事故処理作業者)の人たちだ。事故直後、高濃度汚染地に動員されて、事故の収束、土木工事、除染作業などに従事し、さまざまな体調不良に悩んでいる。

 25年前の会の結成時には25…

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