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 第29回三島由紀夫賞・山本周五郎賞(新潮文芸振興会)の選考会が16日、東京都内のホテルで開かれ、三島賞は蓮實重彦さん(80)の「伯爵夫人」(新潮4月号)、山本賞は湊かなえさん(43)の「ユートピア」(集英社)に決まった。賞金は各100万円。贈呈式は6月24日にある。

 蓮實さんはフランス文学者で映画評論家。元東京大学総長。小説を発表するのは、受賞作が3作目。

 湊さんは広島県生まれで兵庫・淡路島在住。2007年、「聖職者」で小説推理新人賞を受け、デビュー。同作を収録した単行本「告白」は本屋大賞を受賞し、映画化もされた。

 「ユートピア」は地方の海辺の町を舞台にした心理サスペンス。地元の仏具店の嫁、夫の転勤で社宅住まいの妻、移住してきた陶芸家という3人の女性が興したボランティア基金が、ささいな感情の行き違いからきしみ始めたことから、かつて町で起きた事件の真相があらわになっていく。

 湊さんは「3度目の正直でうれしい。2回ふられた方がよりうれしいのと同じで、片思いが実ったような気持ちです」と話した。

 山本賞では、モデルの押切もえさん(36)の連作短編集「永遠とは違う一日」(新潮社)も候補になったが、次点だった。佐々木譲選考委員は「きちっとした文学、巧みな構成になっている。僅差(きんさ)だった」と話した。