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 ブラジルのルセフ大統領の職務停止で誕生したテメル大統領代行の暫定政権が、閣僚に女性や黒人が一人もいないことで批判されている。12日に発表した顔ぶれは23人全員が白人男性。近年の政権が多様性を強調してきた流れに逆行するような動きだとして、「人権状況の深刻な後退」と懸念する声が高まった。政府は13日、「女性の起用に努めたい」と表明した。

 地元メディアによると、ブラジルで男性だけの内閣は、軍事政権下のガイゼル政権(1974~79年)以来。79年のフィゲレイド政権の発足以降、閣僚に常に女性が含まれており、2003年に誕生した中道左派・労働党のルラ政権は10人の女性を起用。後任のルセフ氏はブラジル初の女性大統領で、2期5年半で女性14人が大臣を務めた。

 テメル政権の組閣が発表されると、国内外から批判が殺到。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは「政治危機が人権を危険にさらしている」と懸念を表明し、国連女性機関のブラジル事務所は「民主主義は女性の参加によって実現されるものだ」として改善を求めた。

 こうした批判に対し、パジーリャ官房長官は「閣僚は各政党からの推薦で決めた。女性の起用に努めたが難しかった」と釈明した。

 一方、暫定政権の閣僚には、国営石油会社が絡む大規模汚職への関与が疑われている政治家5人が入閣。ルセフ氏が弾劾(だんがい)された背景には、汚職の広がりに対する国民の不満があったが、新政権も腐敗のイメージを払拭(ふっしょく)し切れないスタートとなった。(サンパウロ=田村剛)