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第7章:2

 2010年末。神奈川県横須賀市の実家に一通の封書が届いた。

 「裁判所」と書かれてある。

 「おやじに来たものだな」

 当時大学4年生で、両親と同居していた米澤敏靖さん(27)は思った。

 しばらくして台所のカウンターをみると、まだその封書が置いてあった。何げなく見ると、宛名にあったのは、父親ではなく、自分の名前。父親とは名前が一文字違いだった。

 封を開けると、裁判員候補者の名簿に載った、という内容が書かれてあった。

 「裁判員」という言葉は聞いたことはあった。でも、通知の内容は、さっぱりわからなかった。

 「自分には関係ないことだろう。どうせ選ばれないだろう」。そうたかをくくり、資料も読まなかった。

 翌春、また、カウンターの上に郵便物が置いてあった。このときもまた、父親あての封書だと思っていた。だって、自分あての郵便物などほとんど届いたことがないのだから。

 ところが、その封書もいつまでたっても、そのままだった。「また、ずっと置いてある」。手に取ると、自分宛ての書類だった。

 封を開けると、今度は、裁判員の候補に選ばれたと書かれてあった。しかも、6月1日に横浜地方裁判所に来るようにとあった。

 一応、書類に目を通した。学生であることは辞退理由になるらしい。さらに読み進めると、日当が出ることもわかった。

 「不純な動機で申し訳なかったですけど……」と米澤さんは振り返る。「行くだけで日当がもらえるなら、行くだけ行ってみようと思いました。どうせ選ばれないだろうから」。そんな軽い気持ちだった。

 事件の内容にも関心はなかった…

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