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第7章:7

 川崎市のアパートの大家ら3人が殺害された事件の裁判員裁判。2011年6月7日にあった第4回公判で、被告(当時59)は裁判官や裁判員に向かって深々と頭を下げた。

 「3人を殺害したのは非情なこと。被害者、家族のみなさん、本当にすみません。謝って済むことではないと思う。財産もない私は命で償うしかないと思って過ごしている」

 裁判員の米澤敏靖さん(27)はその言葉を聞いて、「覚悟ができているんだ」と思った。被告は写経をしているとも言った。「反省はしているんだ」と受け止めた。

 ただ被告は裁判を通して、表情が乏しかった。被害者遺族が怒りの声を上げても全く反応を示さなかった。

 被告の説明では、数年前から同じアパートに住む大家の弟(当時71)が大きな音をたててドアを開け閉めする嫌がらせやトイレを汚すなどの行為を繰り返していたという。何度も注意したが、やめず、顔を見ただけでいらだつようになった。事件前日も夕方に物音がし、被告はスナックに酒を飲みに行き、深夜に帰宅。翌朝の午前6時40分ごろ、隣に住む大家の弟を刺殺。駆けつけた大家の弟の妻(同68)と大家の男性(同73)も刺し殺した、とのことだった。

 被告は法廷で「日常的なドアの開け閉めがドーンという太鼓のような音でイライラした。注意しても聞いてくれなかった。我慢の限度だった」と語った。だが、「殺すつもりはなかった」と殺意は否定。ただ、なぜ部屋に向かったのか、なぜ包丁をもっていたのかは「わからない」と繰り返した。

 「大家の弟に包丁をもった手を押さえられ、力比べのようになった。後は興奮していて覚えていない」

 直接のトラブルがほとんどなく、恨みがないとみられたほかの2人の殺害理由について尋ねられると、「目が合ったので刺した。みな敵で、一緒だと思った」などと答えた。

 検察官から自分の性格を問われると、「短気で、深く物事を考えない。小さいころからの性分だから変えようがない」と説明。毎日「死刑囚だと思って生活している」などとも話した。

 なぜ、3人も殺したのだろう。被告の言い分を聞いてもわからなかった。犯行の直前から犯行にいたるまでの記憶があやふやで、質問にもはっきりした答えが返ってこない。

 ウソをついているようには思え…

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