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 福岡県筑後市のリサイクル店事件で、従業員の日高崇さん(当時22)ら3人に対する殺人や傷害致死罪に問われた経営者夫婦の妻、中尾知佐(ちさ)被告(47)の第7回公判が26日、福岡地裁であった。夫の伸也被告(49)が検察側証人として出廷し、「『体罰』の9割は妻の指示だった」と述べ、知佐被告が主導的な立場だったことを示唆した。

 上下黒のスーツ姿で法廷に入った伸也被告は、2014年4月に逮捕されて以降、「ざんげの気持ちで日高さんたちが亡くなったことを(県警に)話しました」と説明。被害者4人(1人については時効で不起訴)の名前を挙げ、「私たちの体罰で4人を死に至らしめた」と述べた。

 その上で、店で従業員たちに「体罰」をするように提案したのは知佐被告だったとし、「妻は小さいころから父親に殴られて育ってきた。『たたかれると言うことを聞く』と言っていた」と説明した。

 両被告は、ともに04年に死亡した日高さんと男性従業員(当時19)を殴ったり蹴ったりし、ほとんどの場合は知佐被告から「口頭やアイコンタクトで」暴行の指示があった、と証言。知佐被告が従業員の食事を抜くこともあり、2人はやせていったという。

 男性従業員の死亡を知佐被告から知らされ、自首しようと思ったが、「ちょっと待って。逮捕されたら娘の人生が壊れる」と制された、とも述べた。

 遺体を埋める場所を話し合った際には、知佐被告が「(伸也被告の)実家の庭だったらどうなん?」と提案。伸也被告は「勘弁してほしいと思ったし、山とかしか思い浮かばなかったが、妻に『実家の庭の方が人目につかない』と言われ渋々納得した」と話した。

 埋める行為には伸也被告のほか、知佐被告の指示で日高さんも加わったといい、日高さんは穴を掘ることもできないほど弱っていたという。起訴状などによると、日高さんもその直後に衰弱死したとされる。

 この日午前の公判中、両被告の視線が交わることはなかった。知佐被告は初公判で「暴行は夫がしていた」と主張した。(張守男、緒方雄大)