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 米国のバラク・オバマ大統領は26日、朝日新聞の単独書面インタビューに応じた。オバマ氏は、1945年の原爆投下以来初めて、現職の米大統領として広島を27日に訪問することについて「広島が思い起こさせるのは、戦争は罪なき市民に、途方もない苦しみと喪失をもたらすということだ」と述べ、被爆地から世界に対して、戦争の悲惨さと「核なき世界」を訴えることを明らかにした。

 オバマ氏は広島訪問について「第2次世界大戦で失われた何千万もの命に思いをはせ、敬意を表するためだ」と説明。広島訪問に米国内で異論もある中で、「敬意」という言葉で、戦争で命を落とした米軍兵士も含めて配慮した形だ。

 そのうえで、「広島が思い起こさせるのは、戦争は、理由や関与した国を問わず、とりわけ罪なき市民に対して途方もない苦しみと喪失をもたらすものということだ」として、原爆が投下された広島と、戦争による一般市民の犠牲を結びつけた。原爆投下で多くの市民が亡くなった広島を、戦争の悲惨さを示す象徴的な場所と米国大統領が位置づけた発言として、注目される。

 また、広島で「(2009年に演説した)プラハで示した『核なき世界』を追求するビジョンを思い起こす」と述べ、「核なき世界」に向けたメッセージを、広島から世界に発することを明らかにした。「米国には、核なき世界に向けて指導力を発揮し続ける、特別な責任がある」とも述べた。米国が、核兵器を使用した唯一の国であることを念頭に置いたものだ。

 オバマ氏は、「広島と長崎への原爆投下の決定について再び議論はしない」として、原爆投下の是非には触れるつもりがないと明言。一方で、安倍晋三首相と共に平和記念公園を訪れることについて、「かつての敵国同士でさえ、最も強固な同盟国になれるという、和解の可能性を世界に示すものだ」と強調した。核開発を進める北朝鮮の脅威を強調し、日米韓協力を進める重要性も訴えた。

 沖縄県で起きた米軍属の男による死体遺棄容疑事件については「深い遺憾の意」を表明する一方で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設計画を推進する立場を改めて示した。

 オバマ氏は、26日から開かれている主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)に出席するため訪日。首脳会議終了後の27日午後に広島を訪れる予定だ。(アメリカ総局長・山脇岳志)