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 「宰相になるか、ポピュリストになるかですよ」

 5月28日夜、首相公邸の一室。閉幕した主要7カ国(G7)首脳会議、いわゆる「伊勢志摩サミット」の議長を務めた安倍晋三首相に、麻生太郎副総理兼財務相が迫った。

 「宰相になる」とは、来年4月の消費増税を予定通り実施すること。大衆に迎合する「ポピュリストになる」とは、増税を先送りすることだ。財務省のトップとして、足もとの負担増に耐えても将来世代にツケ回しすべきではないとの思いを込めた。

 麻生氏は、増税先送りなら衆院を解散して信を問うべきだとも訴えた。同日選の見送りに傾いていた首相に、解散を持ち出すことで予定通りの増税を求めた。

 この日の協議には、菅義偉官房長官と谷垣禎一自民党幹事長もいた。政権運営の中枢を担う4人だ。谷垣氏は、予定通りの増税を主張した。菅氏は「同日選は公明党が反対です」。パイプのある公明党とその支持母体である創価学会との関係に気をもんでいた。だが、麻生氏は「いつまで公明党に気をつかっているんだ」と詰め寄った。

 2日後の30日夜。首相と麻生氏は都内のホテルで3時間、酒を酌み交わし、議論を続けた。国会は6月1日に閉会する。結論を出すぎりぎりの期限だった。

 「消費増税を先送りするなら、信を問わなければなりません」と麻生氏。「参院選で信を問えばいいじゃないですか」。そう返す首相に「政権選択を問うのは衆院選に決まっています」。前回の先送り時は衆院を解散したのに筋が通らない、と畳みかけた。

 それでも、首相は首を縦に振らなかった。

 「総理がそこまで言うなら、わかりました。孤独なのはわかりますから」。どす黒いまでの孤独に耐えるだけの体力、精神力が欠かせない――首相在任中に麻生氏が語った言葉だ。トップの「重圧」を理解し、最後は麻生氏が折れた。

 消費増税の再延期をめぐる政権…

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