「このあたりが御仮寓所(ごかぐうしょ)があった所じゃないかな」。記憶をたどるように、かつてあった仮御所について話す天皇陛下の視線の先に、皇后さまがまなざしを向けました。

 5月31日。天皇、皇后両陛下は東京都小金井市の小金井公園を訪れました。ここは天皇陛下が学習院中等科時代を過ごした思い出の地。中等科は先の大戦の空襲で東京・目白の校舎が焼失したため、公園内に校舎を移転し、天皇陛下は1946年4月から数年間、この地で学びました。翌5月に校舎近くの仮御所に移り住みましたが、それからちょうど70年の節目に、仮御所跡に建つ記念碑を訪れた時の様子です。

 天皇陛下は47年に撮影された周辺の航空写真を見ながら「これが光華殿」「向こう側は物置」などと、当時の建物の位置を皇后さまに説明しました。

 懐かしい風景に過去の記憶がよみがえったのでしょうか。「松の木がありましてね。机に向かっていたら雷が落ちたんですよ」と、知られざるエピソードも飛び出しました。

 当時をうかがい知ることができる一枚の写真があります。中等科2年の頃、皇太子時代の天皇陛下が教室で授業を受けている場面です。教壇で指導しているのが、家庭教師を務めた米国人エリザベス・グレイ・バイニング夫人です。

 46年に来日したバイニング夫人は、中、高等科在学中の陛下に、個人授業と学校で英語を教えました。米国流の民主主義の感覚をもたらした一方、滞日中の経験を著してベストセラーになった「皇太子の窓」で、戦後の日本の世相や皇室の姿を世界に伝えました。小金井の地を訪れた天皇陛下は「個人授業は、あの辺りにありますね」と話し、かつての学舎(まなびや)を思い出しているようでした。

 実は両陛下は、20年前の96年にもこの地を訪れ、公園内の建物を視察しています。そのため今回の視察では、当時立ち寄っていない雑木林や近くの農園に足を運びました。

 この日、両陛下を出迎えた小金…

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