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(玉造黒門越瓜:1)

 すし職人がしゃりを握っていく。ネタは魚介類ではない。なにわの伝統野菜、玉造黒門越瓜(しろうり)だ。15日、大阪市中央区の玉造稲荷神社で夏祭りがあり、すしコーナーに列ができた。

 玉造黒門越瓜は、ウリの仲間では大きめだ。皮は濃い緑色だが、熟すると白くなる。すし用は皮をむいてネタの大きさに切り、昆布で挟んで一晩締めて味を付けたという。「シャキシャキした食感が好評です」と禰宜(ねぎ)の鈴木伸広さん(41)は言う。

 味見をさせてもらうと、夏らしいあっさりした味で、すし飯とぴったりだった。4年前の夏祭りからはじめ、毎年500食を無料で提供しているそうだ。

 鈴木さんと玉造黒門越瓜との出会いは1999年。神社のある場所は豊臣時代には大坂城の三の丸で、あたりには前田利家や細川忠興ら大名の武家屋敷が並んでいたという。こういった歴史を神社ホームページで紹介しようと調べ続けた。江戸時代には酒造も盛んで、酒かすを使った越瓜のかす漬けが大坂名産だったと知った。

 当時、玉造は大坂の中心部の東端にあり、お伊勢参りで行き交う旅人の大坂の玄関口だったという。「越瓜は旅の保存食として使われていたのでは」と鈴木さんは推測する。

 近くにあった大坂城玉造門が黒塗りだったため、玉造黒門越瓜の名が付いたらしい。だが明治以降、越瓜畑は都市化で姿を消していった。

 「自分が住んでいる玉造の名の付く食材がなく、どうしても復活させたかった」。2002年、鈴木さんが大阪府立環境農林水産総合研究所に問い合わせると、種が保存されていた。分けてもらって栽培をはじめた。

 神社境内の一角にある約50平方メートルの畑。玉造黒門越瓜のツルが地面にはって広がり、緑のじゅうたんのようだ。葉に隠れるように実がいくつもなっている。すしネタや、毎年、本殿に供えるものもこの畑の産だ。

 畑にはさらに重要な役割がある。玉造黒門越瓜のイラストが描かれた神社特製の封筒がある。中には米粒大の種が20粒ほど入っている。神社は04年から採種もはじめ、この種の封筒200袋を周辺住民や企業、学校などに無料で配っている。いったんは姿を消した越瓜だが、神社を拠点に栽培の輪がひろがりつつある。

■ビルで収穫 緑も育む(玉造黒…

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