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 首の手術痕を隠すため、襟の高い服を着ていた。2006年3月、ベラルーシ南東部の都市ゴメリのゴメリ医科大学で、がんで甲状腺を摘出した医学生6人に話を聞いた。

 マリーナ・イワンチコワ(当時22)は、2歳でチェルノブイリ原発事故に遭い、10歳で手術を受けた。「プールにいる私を見て、母が『のどが腫れている』と気づいた。それほど大きくなっていた」

 タチアナ・クラフチェンコ(同21)は9歳で摘出した。「手術で声帯が傷つけば、声を失うといわれた。手術痕がきれいなのがうれしい」

 チェルノブイリ事故の健康被害として、「子どもの甲状腺がん」が知られる。だが、原子力の平和利用を進めるとする国際原子力機関(IAEA)は、なかなかこれを認めなかった。

 事故から5年の1991年5月、チェルノブイリ事故の健康への影響に関するIAEAの国際会議が、ウィーンで開かれた。私も取材した。

 いまでは信じられないが、報告書は「統計上は健康への影響は見られない」。ウクライナとベラルーシの研究者が「こんな報告は認められない」と大声で抗議し、会場は異様な雰囲気に包まれた。

 ベラルーシの事故対策特別委員会議長ケーニクは「報告書から『甲状腺がんの増加はない』との表現を削除して欲しい」と求めた。両国は共同で記者会見し「報告書は楽観的過ぎる。受け入れられない」と抗議した。

 だが、議論がかみ合わないまま会議は閉会。両国の主張に対し「地方の医師が見まちがったのだろう」と軽く見る雰囲気があったように思う。

 「子どもの甲状腺がんの増加」がようやく認められたのは、95年のIAEAなどの国際会議。ゴメリの学生たちは手術を終えていた。

 ここでも放射線の影響は「子ど…

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